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ハウスミカンにおける物理的防除資材によるアザミウマ類の果実被害軽減


[要約]
ハウスミカンにおいて近紫外線カットフィルムをハウスの屋根に使用し、側窓部に1mm防虫ネットを用いるとアザミウマ類のハウス内への侵入数や果実の被害を低く抑えることができ、果実品質にも問題ない。

[キーワード]
ハウスミカン、近紫外線カットフィルム、1mm目防虫ネット、アザミウマ類

[担当]
長崎果樹試・病害虫科、佐賀果樹試・病害虫研究担当、鹿児島農開総セ・果樹部・環境研究室

[代表連絡先]電話0957-55-8740	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
ハウスミカンを加害するアザミウマ類は薬剤のみの防除では多数回の散布が必要になる。そこで、平成13年に防除効果が確認された1mm目防虫ネット(中村ら、九州沖縄農業研究成果情報第18号)に、今回、近紫外線カットフィルムを組み合わせた場合の被害軽減効果を実証し、さらに果実品質への影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 近紫外線カットフィルムをハウスの屋根に使用するとアザミウマ類のハウス内での誘殺数は近紫外線カット効果のないポリフィルムを使用したハウスより低く抑えることができる(図1)。

  2. 近紫外線カットフィルムは、を使用すると農薬散布回数を減らしてもアザミウマ類による被害果率を低く抑えることができ、果実品質の低下は認められない(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 長崎県の調査では近紫外線カットフィルム区、対照区とも側窓部に1mm目防虫ネットを使用している。

  2. ハウス内外で確認された主なアザミウマの種類は長崎県、佐賀県の調査ではミカンキイロアザミウマ、ネギアザミウマ、ヒラズハナアザミウマであり、鹿児島県の調査ではチャノキイロアザミウマ、ハナアザミウマ、ミカンキイロアザミウマである。

  3. 近紫外線カットフィルムとは、波長380nm以下の光を実質的に透過させないフィルムの総称である。紫外線量は近紫外線カット効果のないポリフィルム下では野外の40%であり、近紫外線カットフィルム下では野外の10%と低く抑えられる。なお、本試験で利用した資材は近紫外線カットフィルム(商品名:グローマスター)、1mm目防虫ネット(商品名:サンサンネットU-2000白)と不織布交織ネット(スリムホワイト45)である。

[具体的データ]

図1 アザミウマ類のトラップ誘殺消長


表1 収穫時の果実品質と薬剤散布回数(長崎県)

[その他]
研究課題名:ハウスミカンスリップス類の防除技術の実証
予算区分 :委託
研究期間 :2003〜2005年度


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