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子のう胞子によるイチゴ炭疽病(Glomerella cingulata)の空気伝染


[要約]
イチゴ炭疽病(G.cingulata)は子のう胞子により空気伝染する。子のう殻(子のう胞子を内包)は育苗期を通じ枯死株等に形成され、子のう胞子が降雨直後を中心に数ヶ月にわたって飛散する。

[キーワード]
イチゴ炭疽病、Glomerella cingulata、子のう胞子、空気伝染

[担当]
佐賀農業セ・土壌環境部・病害虫農薬研究担当


[代表連絡先]電話0952-45-2141	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
イチゴ炭疽病(Glomerella cingulata)の二次伝染は、病斑部に形成された分生子が降雨等によって飛散しておこるとされ、本伝染を防ぐ雨よけ栽培は高い防除効果を示す。しかし、程度は低いものの、雨よけ栽培圃場において発病株がみられたり、露地条件下で降雨が比較的少ない場合にも発病する事例が認められる。そこで、本病菌について、降雨によらない伝染法である子のう胞子による空気伝染の可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. イチゴ炭疽病菌(G.cingulata)は、子のう胞子を内包する子のう殻を、育苗期を通じ枯死株や陥没した葉柄の病斑等に形成する(表1)。

  2. 子のう胞子は子のう殻から飛散し空気伝染する(図1図2)。

  3. 子のう胞子の飛散は、降雨直後が多く、株の枯死後数ヶ月にわたって続く(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 子のう殻は、枯死株及び陥没した葉柄の病斑同様、萎凋株のクラウンやランナーの陥没した病斑にも形成されるため、発病株は見つけ次第直ちに処分する。

[具体的データ]

表1 現地発病株におけるイチゴ炭疽病菌(G.cingulata)の子のう殻形成状況(2004)


図1 子のう胞子


図2 ガラス室内において硝酸塩利用能欠損(nit)変異イチゴ炭疽病菌(G.cingulata)の子のう殻形成枯死苗に隣接設置した苗の発病及び子のう胞子飛散状況


図3 枯死株からのイチゴ炭疽病菌(G.cingulata)子のう胞子の飛散状況(2005,露地)

[その他]
研究課題名:佐賀県特別栽培農産物認証制度に対応したイチゴ・ナスの病害虫防除体系の確立
予算区分 :国庫
研究期間 :2004〜2007年度


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