短期常温予措を利用した極早生・早生ウンシュウの緑かび病の抑制
- [要約]
- 極早生・早生ウンシュウでは、収穫前に薬剤を散布しても収穫当日の選果機利用や降雨時の収穫により果皮傷が発生し、緑かび病による果実腐敗が多くなる。この対策として、一般の倉庫に24時間以上貯蔵する短期常温予措を行うことで果実腐敗を抑制できる。
- [キーワード]
- 温州ミカン、果実腐敗、緑かび病、予措
- [担当]
- 熊本農研セ・果樹研・病虫化学研究室・常緑果樹研究室
[代表連絡先]電話0964-32-1723
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- 近年、極早生・早生ウンシュウを主体に緑かび病を中心とした果実腐敗病が発生し、多くの産地で問題となっている。この原因は、極早生・早生ウンシュウは、普通ウンシュウや中晩柑類と異なり市場価格との関係から予措を省略して、収穫後ただちに市場に出荷しているからである。
- そこで、極早生・早生ウンシュウの緑かび病対策として、果実腐敗の原因となる果皮傷の発生要因を解明し、果実腐敗抑制に必要な最低限の予措期間を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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水浸漬した果実の重量変化から果皮傷の発生程度を推定したところ、選果機の利用、収穫当日の選果、降雨時の収穫が果皮傷発生要因として重要である。
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果皮傷があっても、24時間以上の常温予措(一般に利用されている倉庫で貯蔵)を行うことにより緑かび病による果実腐敗が少なくなる(表2)。
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収穫当日の選果機利用は、緑かび病の発生を助長する。しかし、短期常温予措(一般に利用されている倉庫で24時間以上(減量歩合0.6%程度)貯蔵する)を行うことにより、選果機を利用しても緑かび病による果実腐敗が抑制できる(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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短期常温予措は、極早生・早生ウンシュウの緑かび病に対する収穫後の耕種的防除技術に活用できる。
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緑かび病対策は、薬剤のみに頼らず、収穫時に果皮に傷が付かないよう果梗枝を短く切除し、収穫当日の選果・箱詰め作業を避けることにより、さらに効果が高まる。
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[具体的データ]
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表1 水浸漬による果皮傷と果実重との関係

表2 果皮傷後の予措時間数と緑かび病の発生

表3 選果機による選果までの予措日数と腐敗果率
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[その他]
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研究課題名:極早生・早生ウンシュウの果実腐敗防止対策
予算区分 :令達
研究期間 :2001〜2005年度
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