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ブドウ晩腐病に対する梅雨明け直後までのビニル被覆と適正な袋かけによる発病軽減


[要約]
`巨峰'の雨よけ栽培で、晩腐病の発病は梅雨明け直後までビニルを被覆しておくことで抑制され、着色への悪影響は少ない。また、袋かけは果実袋へ雨水が流入するようなかけ方では発病が多くなるので、袋の止め口をしっかりと締めることが重要である。

[キーワード]
ブドウ、晩腐病、ビニル除去時期、袋かけ方法

[担当]
大分農林水産研安全

[代表連絡先]電話0978-37-1893	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
ブドウ晩腐病は収穫期に果実を腐敗させる重要病害である。`巨峰'の雨よけ栽培ではビニル除去後の降雨によって一次伝染源(巻きづる等)から大量の分生子が溢出する。このため、ビニル除去以降(7月中旬以降)に多感染が起こり、被害が拡大することが懸念される。そこで、ビニル除去時期および袋かけ方法が発病に及ぼす影響を明らかにして、防除技術の確立に資する。

[成果の内容・特徴]
  1. 晩腐病発病はビニル除去後の降雨量に大きく影響しており、ビニル除去時期を遅くするほど発病は少なくなる(表1表2)。

  2. 着色不良の果房割合は、ビニル除去を遅くするほど多くなり、8月上旬の除去では顕著であるが、梅雨明け後の除去であれば問題は少ない(表1表2)。

  3. 袋かけ方法の違いによる晩腐病発病は、早期ビニル除去区と慣行ビニル除去区では、`適正'と`パラフィルム'はほぼ同等で`ロート状'より少ないことから、袋内への雨水の流入に伴う感染の可能性が示唆される。このため、袋の止め口をしっかりと締めることが、発生防止対策として有効である(表1)。

  4. 以上のことから、`巨峰'の雨よけ栽培ではビニルを梅雨明け直後まで被覆しておくとともに、袋かけの際は止め口をしっかりと締めることで晩腐病の発生を抑制できる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 適正な袋かけ方法による発病軽減対策は施設栽培および露地栽培でも活用できる。なお、露地栽培では有効薬剤散布後、すみやかに袋かけを実施する。

  2. ビニルを8月上旬まで被覆していると着色不良果房の割合が高くなるので、梅雨明け直後に除去する。

[具体的データ]

表1 ビニル除去時期および袋かけ方法の違いが発病と果実の着色に及ぼす影響(2006年)


表2 ビニル除去時期および袋かけ方法の違いが発病と果実の着色に及ぼす影響(2005年)


図 各種袋かけの方法

[その他]
研究課題名:安全・安心な「ブドウ」づくりのための総合防除体系の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2007年度


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