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中山間地黄色土での家畜ふん堆肥を活用した水稲の減化学肥料栽培


[要約]
中山間地黄色土水田での水稲「ヒノヒカリ」栽培において、基肥に家畜ふん堆肥を1t/10a施用し、施肥は化学肥料による穂肥のみとすることで、慣行の分施体系と遜色ない収量が得られ、化学肥料による窒素施肥量を5割程度削減できる。

[キーワード]
中山間地、黄色土、水稲、ヒノヒカリ、牛ふん堆肥、減化学肥料栽培

[担当]
長崎総農林試・環境部・土壌肥料科

[代表連絡先]電話0957-26-3330	
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
赤黄色土壌が大部分を占める長崎県の中山間地では、特別栽培農産物認証のために化学肥料を慣行の1/2以下に減らした水稲の施肥技術が求められ、レンゲ等の緑肥や、有機質肥料を用いた栽培が行われている。一方、家畜ふん堆肥についても、その有効利用が求められている。そこで、基肥を家畜ふん堆肥で、追肥を化学肥料で施用する施肥体系を3年連用で実施し、化学肥料での窒素施肥量を1/2以下にする施肥体系を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 水稲「ヒノヒカリ」に対し基肥に家畜ふん堆肥(牛:豚:鶏=6:3:1)を1t/10a施用し、穂肥を化学肥料で施用すると、化学肥料で基肥、穂肥を施用する体系に比べ、穂数、一穂籾数が少なくなりm2あたり籾数は減少するが、千粒重は重くなり、精玄米重は同等となる(表1表2)。

  2. 家畜ふん堆肥を2t施用して、窒素分を基肥、穂肥とも無肥料で栽培すると精玄米重は減少する(表1)。

  3. 家畜ふん堆肥1t/10aを移植1ヶ月前に施用し、化学肥料の基肥なしで栽培した場合、連用3年目では堆肥で施用した窒素の18.5%が穂肥前に稲体に利用される(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 長崎県県央地域の中山間地(標高50m)の安山岩を母材とする礫質黄色土での試験結果である。

  2. 用いた堆肥は、牛ふんが6割、豚ふん3割、鶏ふん1割の家畜ふんに副資材としてバークを加えて製造した堆肥で、成分は現物あたり窒素1.12%、C/N比16.2(3年平均)である。移植の1ヶ月前に施用した。

[具体的データ]

表1 水稲の精玄米重、m2当籾数、千粒重、玄米中窒素(窒素は乾物当)


表2 8月初〜中旬の茎数、収穫時の穂数および稲体中窒素含有率(窒素は乾物当)


表3 窒素吸収量の推移および窒素利用率(2005年)

[その他]
研究課題名:棚田における地力窒素に合った水稲の環境保全型肥培管理の確立
予算区分 :国庫助成(土壌機能増進)
研究期間 :2003〜2005年度


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