2年間の大豆栽培が後作の2作目水稲・3作目小麦に及ぼす影響
- [要約]
- 2年間の大豆栽培後の2作目水稲では水稲栽培後の場合よりも生育・収量とも向上するが、玄米タンパク質含有率は上昇し、3作目小麦では生育・収量は低下傾向にある。大豆栽培後2作目の堆肥連用田の水稲では窒素施肥量を3割減とすることで倒伏を軽減できる。
- [キーワード]
- 水稲、小麦、大豆、堆肥連用、収量、タンパク質含有率
- [担当]
- 大分農林水研・安全農業研究所・土壌肥料担当
[代表連絡先]電話0978-37-1435
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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大豆栽培跡地の1作目の小麦では水稲栽培跡地と同等の施肥を行った場合、生育過多による倒伏が起こるため、窒素施肥量を減肥する必要があることが知られている。しかし、その後の田畑輪換における2作目の水稲栽培及び3作目の小麦栽培に及ぼす影響についての知見はあまり得られていない。そこで2年間の大豆栽培が有機物施用歴の異なる水田での2作目水稲及び3作目小麦の収量・品質に及ぼす影響について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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大豆栽培跡地2作目の水稲は、水稲栽培跡地と比較して生育では稈長がやや高くなる。収量は有機物の施用歴にかかわらず5〜60kg/10a向上するが、玄米タンパク質含有率も0.1〜0.4%上昇する(表1、表2)。
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大豆栽培跡地2作目の水稲では堆肥連用により倒伏の危険性が増大するが、窒素施肥量を3割減とすることで倒伏を軽減でき、慣行以上(水稲跡・化学肥料区および水稲跡・わら還元区)の収量を得ることができる(表2)。
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大豆栽培跡地3作目の小麦は水稲栽培跡地と比較して生育では稈長がやや低下する。収量は低下する傾向にある(表1、表3)。
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2作目水稲作付前土壌及び3作目麦作付前土壌の大豆栽培跡地の可給態窒素量は水稲栽培跡地と比較してほぼ同等か、むしろ低い(表4)。大豆栽培跡地と水稲栽培跡地の理化学性については、有機物施用が同一の区間では大きな変化は見られない(データ省略)。
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[成果の活用面・留意点]
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本試験は黄色土での試験結果である。輪作体系に大豆栽培を取り入れている様々な有機物連用体系での水稲・小麦栽培の施肥設計の参考資料となる。
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本試験では水稲は「ヒノヒカリ」、小麦は「農林61号」を供試した。
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[具体的データ]
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表1 試験圃場の輪作体系および試験区の処理

表2 2作目水稲の生育・収量および品質

表3 3作目麦の生育・収量および品質

表4 2作目水稲、3作目小麦作付前の土壌全窒素及び可給態窒素
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[その他]
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研究課題名:地力の異なる水田における稲・麦・大豆体系での高品質生産の為の施肥技術の確立
予算区分 :国庫助成(土壌保全)
研究期間 :2003〜2006年度
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