ハクサイの硝酸イオン濃度に対する結球開始期の追肥窒素の影響
- [要約]
- ハクサイの慣行施肥体系(基肥-追肥2回)において、結球開始期に施用する追肥窒素の10日以上の遅れは、結球重を減少させるだけでなく、結球中の硝酸イオン濃度の上昇をもたらす。特に、硝酸系肥料の使用は硝酸イオン濃度の上昇を助長する。
- [キーワード]
- ハクサイ、硝酸イオン、窒素質肥料、追肥時期
- [担当]
- 鹿児島農総セ・生産環境部
[代表連絡先]電話099-245-1081
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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野菜中の硝酸イオン濃度は低い方が望ましいとされ、硝酸イオンの蓄積には窒素施肥が大きく関与していることが知られている。また、野菜の硝酸イオン濃度を高めないための施肥管理技術は、窒素負荷低減の観点からも重要である。そこで、ハクサイを対象作物として、追肥時期と窒素形態の違いが硝酸イオン蓄積に及ぼす影響を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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基肥-追肥2回(1回目:定植10〜15日後,2回目:結球開始期)の慣行施肥体系において、結球開始期の追肥が遅れると結球重が減少する(図1)。
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結球開始期の追肥が遅れると、外葉部、結球部ともに硝酸イオン濃度が高まる(図1)。
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結球開始期の追肥が遅れることで、アンモニア系、尿素系、硝酸系のいずれの窒素質肥料においても結球への窒素利用率が低下する(図2)。
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結球開始期の追肥が10日遅れると、アンモニア系、尿素系、硝酸系のいずれの窒素質肥料においても結球中硝酸イオン濃度が高まるが、この程度は硝酸系で大きい(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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本試験の供試土壌は中粗粒灰色低地土である。
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供試品種は「CR黄健65」で、2005年10月12日にセル成型苗を(15日育苗)定植し、12月26日(定植75日後)に収穫した。
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ハクサイの硝酸イオン濃度の上昇を回避するための栽培技術資料として活用できる。
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[具体的データ]
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図1 結球開始期の追肥の施用時期が新鮮物重(左)および硝酸イオン濃度(右)に及ぼす影響

図2 結球開始期の追肥として施用した窒素質肥料の種類および時期の違いが結球部位における窒素利用率(左)および硝酸イオン濃度(右)に及ぼす影響

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[その他]
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研究課題名:露地野菜の健康・安全・高付加価値生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2005〜2006年度
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