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野菜産地の条件に応じたインショップ販売の組織形態


[要約]
農協のインショップ販売の店舗は、農協管内の直売所と競合しない都市部に多い。インショップ販売への供給体制は、大規模多品目産地では従来の品目別部会で対応できるが、小規模産地では販売に対応したインショップ部会を組織することが必要である。

[キーワード]
インショップ、供給体制、産地、部会

[担当]
福岡農総試・食品流通部・経営マーケティングチーム

[代表連絡先]電話092-924-2972	
[区分]九州沖縄農業・農業経営	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
青果物の市場価格が低迷する中、量販店内の一角で地域の野菜を販売するインショップ販売は県内16産地で実施されている。インショップ販売は、安定した価格と一定の取引量が確保できるが、多品目の品揃えと周年出荷が求められる。そこで販売額が大きく、産地の販売方針にインショップを位置づけている4産地を調査しインショップ販売の組織形態を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. A、B農協は野菜販売額が大きく野菜部会数の多い大規模多品目産地であり、C、D農協は部会数が少なく規模の小さな産地である。農協は都市近郊に位置し、インショップ店舗は農協管内の直売所と競合しない都市部に多い。販売方式は店舗からの出荷要請に合わせて出荷する店舗買取り方式がほとんどである(表1)。

  2. インショップ販売に取り組む農協は、産地の規模に応じた供給体制をとっている。A農協は店舗からの注文に対し、品目別部会と共販外農家から市場価格で農協が買取ることによって品揃えを行っている。B農協は各品目別部会内にインショップへ出荷する当番を設置し、一週間ごとに交代で出荷している。A、B農協は既存の部会から市場向けに生産された品目をインショップへ供給している。C農協はインショップ販売に合わせた部会を新たに組織し、店舗と協議して作付けを計画している。D農協は直売所部会の一部の農家に注文数量を割り当てることで品揃えを行っている。また、店舗への出荷計画や受注の処理、小口配送の手配、代金回収等を中間業者に委託することで、農協の販売業務の負担を小さくしている(図1)。

  3. インショップ販売への供給体制は、大規模多品目産地では従来の品目別部会で対応できるが、小規模産地では栽培品目の異なる農家でインショップ部会を組織し、品揃えや周年出荷など店舗の要請に対応することが必要である(表2)。産地規模の小さな農協では、直売所部会で生産力のある農家や市場で有利な販売ができなくなった品目別部会の農家及びこれまで農協共販外であった農家等でインショップ部会を組織することが有効である。また、野菜だけでなく米、果樹、畜産等の農家が加入し、産地の農産物全体を店舗へ供給することで取引額が増加する。

[成果の活用面・留意点]
  1. 小規模野菜産地の農協がインショップ販売に取り組む際の基礎資料として活用できる。

  2. インショップ販売は多品目の品揃えが必要であり、農協及び関係機関は多品目野菜の生産指導が必要となる。

  3. 関連成果情報「小規模野菜産地のインショップ販売における農家の対応」

[具体的データ]

表1 インショップ販売に取り組む農協(2003年)


図1 インショップ販売への供給体制


表2 小規模産地がインショップ販売に対応する条件

[その他]
研究課題名:地域内流通における流通・販売形態の違いと産地条件
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2005年度


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