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小規模野菜産地のインショップ販売における農家の対応


[要約]
インショップ部会は栽培品目及び経営規模の異なる農家で組織され多品目の野菜等を周年出荷している。農家は施設や多品目を組み合わせた生産体制を整え、複数の取引先で出荷量を調整することが必要である。キュウリ農家の個別経営を素材に試算すると、インショップ販売は市場出荷に比べ所得は2倍、労働時間は1.3倍、時間当り所得は1.6倍となる。

[キーワード]
インショップ、部会、個別経営

[担当]
福岡農総試・食品流通部・経営マーケティングチーム

[代表連絡先]電話092-924-2972	
[区分]九州沖縄農業・農業経営	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
新たな地域内流通としてインショップ販売に取組む農協が増えている。インショップ販売は安定した価格と一定の取引量が確保できるが、多品目の品揃えと周年出荷が求められる。大規模多品目産地の農協では既存の生産体制で対応しているが、小規模産地の農協はインショップ販売に対応した生産体制を整えている。そこで、インショップ部会を組織した農協を対象に、農家の対応状況と経営に与える影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. インショップ部会の農家は出荷の6ヶ月前に店舗の販売計画をもとに作付けを計画し、1週間前に出荷計画を提示し注文を受ける。当日は各店舗の注文に応じた品目・数量を出荷する(図1)。

  2. インショップ部会は季節の野菜をスポット的に出荷する販売金額の小さな高齢農家・兼業農家と周年出荷を行う販売金額の大きな専業農家で構成され、多品目の野菜の出荷体制をとっている(図2)。A〜C農家は、栽培品目や作型が農協の共販体制と合わない等の理由で市場へ個人出荷していたが、インショップ販売開始後は施設や複数の品目・作型を組合わせた生産体制を整え、店舗からの注文に対し市場や直売所で数量を調整している(表1)。

  3. C農家のキュウリを素材にシミュレートすると、市場出荷に比べインショップ販売は販売単価が1.8倍、販売経費は2.8倍、所得は2倍、労働時間は1.3倍となる。時間当り所得は840円から1,358円と1.6倍になる(表2)。インショップ販売は販売単価は向上するが、小売りの包装形態で出荷するため調製作業時間が増加する。

[成果の活用面・留意点]
  1. 農家がインショップ販売に取り組む際の基礎資料として活用できる。

  2. インショップに取組む農家は、店舗からの要請に応える品質と計画的な出荷のできる生産技術が必要である。

  3. 関連成果情報「野菜産地の条件に応じたインショップ販売の組織形態」

[具体的データ]

図1 インショップ販売の流れ


図2 インショップ部会の販売金額別農家数


表1 インショップ部会員の経営(2004年)


表2 C農家におけるキュウリ販売形態別のシミュレーション1)(10a当り)

[その他]
研究課題名:地域内流通におけるインショップ販売の支援方策の策定
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2005年度


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