バラのベントネック現象における花梗中の水分減少とその抑制方法
- [要約]
- バラのベントネック現象は、輸送中等に花梗上部の水分の減少によって引き起こされる。ベントネック現象は、バケット輸送等を用いてバラの水分減少をおこしにくくすることによって抑制できる。
- [キーワード]
- バラ、ベントネック、水分減少
- [担当]
- 長崎総農林試・環境部・流通加工科
[代表連絡先]電話0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・流通加工
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- バラは、蕾の時に起こるベントネックと呼ばれる現象(花弁から数センチ下の花梗部がしなり、花が首を垂れたような形になる)が問題となっている。ベントネック現象は、採花後から出荷中或いは販売後においても引き起こされる現象で、細菌や水分ストレスなどが原因で起こるとされているが不明な点がある。また、この現象を引き起こすと開花しにくくなり、商品価値を著しく低下させてしまう。このことから、産地や市場において原因の究明やその対策等が求められている。
そこで、輸送中に起こるベントネック現象について、その発生とバラ内部の水分減少の関係を明らかにするとともに抑制方法を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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- 断水中におこるベントネックは、茎中の水分の減少によって誘発される。これは主に花梗(茎1,2の部分)下の水分の減少に伴って発生する(図1,図2)。摂氏25度で水分を遮断した場合、約4時間後からベントネック現象が誘発されるが、このとき、花梗上部の茎1の部分において水分が急激に減少し始める。
- 夏季のバラ輸送において、バケットを用いたトラック輸送の場合は、市場到着時の重量がほとんど変化していないため、ベントネックも発生しない。ダンボール箱を使用した場合は、バラの重量は、トラック輸送で約20%、航空機輸送で約10%減少する(図3)。トラック輸送では約20%がベントネックを起こす。
- バラの輸送は、段ボール箱輸送と比較して水分の減少を起こしにくいバケット輸送をおこなうことでベントネックの発生を抑制できる(図3)。ラの輸送は、段ボール箱輸送と比較して水分の減少を起こしにくいバケット輸送をおこなうことでベントネックの発生を抑制できる(図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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- 農家段階での品質保持技術として、採花後は、できるだけ水を切らさないようにし、鮮度保持剤(殺菌剤)等で、微生物 の発生を抑制する。
- 品種「ローテローゼ」の検討結果である。
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[具体的データ]
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図1 断水中のバラ内部における水分動態の経時変化(摂氏25度)

図2 断水中のバラ内部における水分の経時変化(摂氏25度)

図3 バラの輸送試験における重量変化
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[その他]
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研究課題名:バラのベントネック現象の可視化解析
予算区分 :県単、黎明研究((独)日本原子力研究開発機構)
研究期間 :2004年〜2005年度
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