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さつまいも葉からのポリフェノールの大量抽出法


[要約]
さつまいも葉からアルコールを使用しない条件でポリフェノール類(クロロゲン酸類)を抽出する方法として、熱水抽出、加熱処理後の水あるいは熱水抽出が有効である。

[キーワード]
さつまいも、葉、ポリフェノール、大量抽出

[担当]
鹿児島農加セ・流通保蔵研究室

[代表連絡先]電話099-245-1138	
[区分]九州沖縄農業・流通加工	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
さつまいも茎葉はビタミン類をはじめ、ポリフェノール類等利用可能な有用成分を含有しているが、有効利用されていない。一般に、植物体からのポリフェノール類の抽出には、含水有機溶媒が用いられ、高い抽出効率が示されているが、抽出後それらを除去する工程が必要となり、作業が繁雑になる。
このため、有機溶媒を用いない条件下で、さつまいも葉からのポリフェノール(図1)の抽出・前処理法を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 非加熱処理の熱水抽出、加熱処理の水あるいは熱水抽出によりポリフェノールの8割以上抽出できる。(表1)。

  2. 水抽出での、加熱処理ではポリフェノールオキシダーゼ(PPO)は検出されないが、非加熱処理では活性が残存するため抽出には適さない(表1)。

  3. エタノール抽出液は、緑色を呈し、クロロゲン酸類と同時にクロロフィルも抽出される。非加熱処理の熱水抽出液は褐色を呈し、加熱処理の水および熱水抽出液では淡黄色を呈し、いずれもクロロフィルの抽出は認められない(図2)。

  4. 加熱処理は、非加熱処理に比べエタノール抽出では抽出量に増減はないが、抽出溶媒に水を用いた場合には効果が高い。特にジカフェオイルキナ酸は、加熱処理の効果が高く、非加熱処理の熱水抽出と比較し1.5〜2.3倍量抽出できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 9月に収穫したコガネセンガンの葉身を用いた。

  2. 部位や時期により抽出量は増減するので、収穫時期に留意する。

  3. 加熱処理時の規模により加熱時間の調整が必要である。

  4. 廃棄されているさつまいも茎葉を成分抽出の素材として利用できる。

[具体的データ]

図1 クロロゲン酸類


図2 抽出液の着色状況


表1 抽出方法がさつまいも葉からのポリフェノール抽出量に及ぼす影響


表2 抽出方法がさつまいも葉からのクロロゲン酸類抽出量に及ぼす影響(mg/100g d.w.)

[その他]
研究課題名:カンショ加工残渣を原材料とした機能性成分の回収と大量抽出技術の確立
予算区分 :特定(バイオリサイクル)
研究期間 :2004〜2006年度


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