サトウキビ乳酸発酵飲料とその製造方法
- [要約]
- サトウキビ搾汁液と乳原料とを含有する培地に乳酸菌を接種して乳酸発酵させることにより、サトウキビ由来のポリフェノールや抗酸化能を活かし、かつ、血圧降下作用が期待できるGABAを豊富に含んだサトウキビ乳酸発酵飲料を得ることができる。
- [キーワード]
- サトウキビ、乳酸発酵、ポリフェノール、抗酸化能、GABA
- [担当]
- 沖縄農研・農業システム開発班
[代表連絡先]電話098-840-8500
[区分]九州沖縄農業・流通加工
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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沖縄県の基幹作物であるサトウキビは主に製糖原料として利用されているが、製糖原料用途以外の高利益型産品を目的とした多用途開発は、資源の有効利用および農村振興の観点からも危急の問題である。これまでに、サトウキビ加工品(黒糖、酢)に生活習慣病や老化防止に寄与する各種機能性(抗酸化、抗変異原、血圧上昇抑制、抗腫瘍活性、等)が試験管レベルで報告されている。そこで、これらの知見を活かしつつ、サトウキビの機能性を活かした新規な発酵飲料の開発により、サトウキビの用途・需要拡大を図る。
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[成果の内容・特徴]
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- サトウキビ乳培地(30%サトウキビ搾汁液、10%脱脂粉乳)に乳酸菌を接種し、摂氏30度で48〜72時間培養することにより、サトウキビ由来に加えて乳酸菌が生産するγ-アミノ酪酸(GABA)を含む風味良好な乳酸発酵飲料の製造が可能である。使用する乳酸菌はGABAの生産量及び官能評価からラクチス菌(Lactococcus lactis)が適する(表1)。
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発酵飲料生産に使用するサトウキビの品種や収穫時期は、サトウキビ乳酸発酵飲料のGABA含有量に大きく影響しない(図1)。
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サトウキビ乳酸発酵飲料はポリフェノール含量及び抗酸化能が高く、サトウキビ由来の成分が活かされている。また、サトウキビを用いることにより、ACE阻害活性や抗変異原性も高くなる(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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本成果はサトウキビの加工利用に関する参考資料であり、製造を希望する業者に対する技術指導の資とする。
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サトウキビの品種や収穫時期は乳酸発酵飲料の風味に影響するので、官能評価を指標に使用原料を選択する必要がある。
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乳原料として生乳や山羊乳等も使用可能であるが、GABA含有量や官能評価を指標に最適培養条件(使用菌株、培養時間等)を設定する必要がある。
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[具体的データ]
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表1 乳酸菌の種類によるサトウキビ乳酸発酵飲料のGABA含有量

図1 サトウキビの品種および収穫時期と乳酸発酵飲料のGABA含有量

表2 サトウキビ乳酸発酵飲料の機能性
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[その他]
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研究課題名:サトウキビの機能性を活かした新規発酵飲料の開発
予算区分 :委託(ブランド日本IV系)
研究期間 :2003〜2005年度
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