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各種農産物のがん細胞増殖抑制活性


[要約]
各種農産物のうち、茶、シソ科ハーブ類、ブルーベリー葉、香酸柑橘果皮の80%エタノール抽出物はHL60細胞及び肝がん細胞3種の増殖を抑制する。さらにシソ科ハーブ類の抗酸化成分はがん細胞増殖抑制活性を有するが、がん細胞の種類で増殖抑制要因は異なる。

[キーワード]
農産物、ハーブ、HL60細胞、肝がん細胞、プロオキシダント作用

[担当]
宮崎食開セ・食品開発部、宮崎総合農試・生産流通部

[代表連絡先]電話0985-74-2060	
[区分]九州沖縄農業・流通加工	
[分類]研究・参考	

[背景・ねらい]
これまで、宮崎県産農産物の付加価値の向上、機能性食品の開発を目的として各種農産物の抗酸化活性を評価し、茶、シソ科ハーブ類、ブルーベリー葉の抗酸化活性が高いことを報告している。
そこで本研究では、ヒトのがん細胞であるHL60細胞、肝がん細胞3種(HLE、HLF、HuH-7)を用いて各種農産物のがん細胞増殖抑制活性を評価し、抗酸化活性との関連について明らかにすることで、更なる農産物の付加価値の向上を目指す。

[成果の内容・特徴]
宮崎県産農産物39作物64品種136部位80%エタノール抽出物のがん細胞増殖抑制活性を評価し、既に評価を行った高抗酸化作物との関連を検討する。

  1. 茶、シソ科ハーブ類、ブルーベリー葉、香酸柑橘果皮、紫黒米抽出物はHL60細胞の増殖を強く抑制する。(表1

  2. 茶、シソ科ハーブ類、ブルーベリー葉、香酸柑橘果皮、茎葉利用カンショ葉・茎抽出物は肝がん細胞3種の増殖を抑制する。(表2

  3. 茶、シソ科ハーブ類、ブルーベリー葉は、高い抗酸化活性及びがん細胞増殖抑制活性を有する。さらにシソ科ハーブ類の抗酸化成分のひとつであるロスマリン酸はHL60細胞の増殖を抑制し、カルノシン酸はHL60細胞および肝がん細胞の増殖を抑制する。(図1

  4. カタラーゼ添加により、ロスマリン酸及びカルノシン酸のHL60細胞増殖抑制作用は完全に阻害されるが、カルノシン酸の肝がん細胞増殖抑制作用は阻害されない。(図2)これより、ロスマリン酸及びカルノシン酸のHL60細胞増殖抑制作用は、抗酸化成分の酸化促進作用(プロオキシダント作用)に起因することが推測され、カルノシン酸の肝がん細胞増殖抑制作用は上記作用に起因しないことが推測される。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は、農産物を用いた高機能性食品の開発に携わる企業等により活用できる。

  2. 評価の高い作物には非可食部などの未利用部位も含まれることから、資源の有効利用につながる可能性がある。

  3. in vitroにより見出した機能性を、in vivoにより確認する必要がある。

[具体的データ]

表1  県産農産物のHL60細胞増殖抑制活性(IC50で表示)


表2  県産農産物のHuH-7細胞増殖抑制活性(IC50で表示)


図1  シソ科ハーブ(レモンバーム、ローズマリー)抽出物と抗酸化成分のがん細胞増殖抑制


図2  カタラーゼ添加によるがん細胞増殖抑制作用の検討

[その他]
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2005年度


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