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大粒、多収の二条大麦新品種候補「西海皮60号」の佐賀県における特性


[要約]
「西海皮60号」は「ニシノチカラ」と比較して、出穂・成熟期が2〜4日早い早生で、稈長が短く耐倒伏性に優れ、大粒で収量性は同等かやや優れる。搗精時間はやや短く軟質で、白度は同程度かやや高い。焼酎醸造のアルコール収得量はやや多い。

[キーワード]
二条オオムギ、大粒、多収、精麦適性、焼酎醸造適性

[担当]
佐賀県農業セ・バイテク部・作物育種研究担当

[代表連絡先]電話0952-45-2141	
[区分]九州沖縄農業・水田作・作物	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
佐賀県の食糧用大麦は「ニシノチカラ」と「ニシノホシ」が栽培されているが、近年の焼酎ブームや健康志向の高まり等から、需要量が増加し供給不足となっており、実需者からなお一層の作付け拡大が望まれている。また、県内の大手醸造メーカーではオリジナルな焼酎開発に取り組んでおり、焼酎醸造適性が優れる新たな大麦品種が求められている。
そこで、焼酎醸造適性が高いとされる二条大麦系統「西海皮60号」の佐賀県における適応性を検討し、その特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
「西海皮60号」は九州沖縄農業研究センターにおいて「西海皮48号」と「羽系89-63」との交配から育成された二条大麦系統で、「ニシノチカラ」と比較して以下のような特徴がある。

  1. 出穂期、成熟期は2〜4日早い(表1)。

  2. 稈長、穂長は短く、穂数はほぼ同程度で、耐倒伏性は優れる(表1)。

  3. 赤かび病に対する抵抗性はやや弱い(表1)。

  4. オオムギ縞萎縮病ウイルスのIII型系統に抵抗性を有する(表2)。

  5. 千粒重は大きく、収量性は同程度かやや優れる。外観品質はやや劣る(表1)。

  6. 精麦時間はやや短く軟質で、精麦白度は同程度かやや高い(表3)。

  7. 焼酎醸造のアルコール収得量は同程度かやや多く、焼酎の特徴として、コクがあり適度な甘さがある(表4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 県内西部の伊万里地区で、地元のメーカーによるオリジナル焼酎作りの原料として、2007年度が10ha、2008年度が70ha作付け予定である。

  2. 早生であるので、極端な早播きは低温による不稔を招くため避ける。

  3. 赤かび病に弱いので、適期防除を行う。

[具体的データ]

表1 生育調査及び収量調査


表2 オオムギ縞萎縮発生地域における生育・収量(2006)


表3 精麦試験結果


表4 焼酎醸造試験結果

[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2006年度


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