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小麦との作業競合回避が可能な二条大麦「はるしずく」の安定栽培法


[要約]
熊本県の小麦作付地域における「はるしずく」の播種適期は、11月5半旬から12月2半旬であり、施肥量は窒素成分で基肥0.6kg/a、2月上旬および3月上旬に各0.2kg/aずつ、あるいは2月上旬に0.4kg/aの追肥により多収となる。

[キーワード]
二条大麦、はるしずく、播種期、播種量、追肥量

[担当]
熊本県農研セ・農産園芸研究所・作物研究室

[代表連絡先]電話096-248-6445	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
近年、熊本県での大麦栽培において、オオムギ縞萎縮ウイルスIII]型による被害が見られ、その対策として、精麦、醸造適性に優れる「はるしずく」を採用した。現在、「ミサトゴールデン」からの切り替えが進み、作付は拡大の傾向にあるため、「はるしずく」の収量・品質の高位安定をねらいとした栽培法について検討した。また「はるしずく」は、既存の「ミサトゴールデン」に比べ成熟期がやや遅い特性があり、乾燥調整施設での小麦受け入れとの競合が懸念される。そこで、小麦、大麦生産地域での乾燥・調整施設の効率的稼働に配慮した播種適期について併せて検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 小麦作付地域での共同乾燥調整施設の効率的稼働を考慮した場合、小麦との成熟期差が4日以上あることが望ましい。また、11月上旬〜中旬の早播では凍霜害、過繁茂による減収の危険性がある。以上のことから、播種期は11月5半旬から12月2半旬が適当である。(図1図2)。

  2. 最適播種期の11月6半旬播種において、2月上旬及び3月上旬に各0.2Nkg/aの追肥を行うことで慣行追肥に比べ収量は高くなる。また2月上旬に0.4Nkg/aの1回施用でも同等の効果が得られる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 熊本県内の「はるしずく」栽培地域(菊池地域)に適用する。

  2. 播種量は、11月5半旬の播種では0.4〜0.6kg/a、11月6半旬以降では0.6kg/aが適当である(図2)。

  3. 本試験は、水稲後黒ボク土壌において行った。

[具体的データ]

図1 播種期と成熟期


図2 播種期、播種量が精玄麦重に及ぼす影響


表1 追肥法の違いと収量・収量構成要素

[その他]
研究課題名:二条大麦有望系統の栽培技術
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2006年度


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