飼料イネ「ミナミユタカ」の牛糞たい肥および化学肥料施用による多収栽培技術
- [要約]
- 飼料イネ「ミナミユタカ」において、全窒素(換算窒素量で1.0〜1.5kg/a)を牛糞たい肥(400kg〜600kg/a)にすると、化学肥料栽培と同程度またはそれ以上の収量を確保することができる。また、化学肥料栽培の場合、窒素量で1.2kg/a(元肥0.9kg、穂肥0.3kg/a)施用することで、成熟期の乾物全重が140kg/a以上と十分な収量を確保することができる。
- [キーワード]
- 飼料イネ、ミナミユタカ、牛糞たい肥、化学肥料、施肥量、全重、ワラ重、サイレージ
- [担当]
- 宮崎県総農試・作物部
[代表連絡先]電話0985-73-2126
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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水稲品種「ミナミユタカ」は本県で育成された飼料イネ専用品種で、県内で約1,600ha栽培されているが、国産稲ワラの需要が更に拡大している。一方、畜産農家は家畜排泄物の処理法が課題となっており、家畜糞尿の有効利用が求められている。そこで、飼料イネ「ミナミユタカ」において、化学肥料の代替として牛糞たい肥を用いた資源循環型栽培による多収栽培技術について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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糊熟期および成熟期における全重には試験区間に大きな差はないが、同じ施肥量の場合、化学肥料と比べて牛糞たい肥を施用した区で大きくなる傾向が見られる。成熟期における籾重には肥料の種類・施肥量による大きな差は見られないが、全重およびワラ重は牛糞たい肥区で大きくなる傾向が見られる(表2)。
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化学肥料を用いた場合、試験区間に有意な差は確認されないが、成熟期の全重およびワラ重は、全窒素量1.2kg/a区が最大である。
- サイレージ(糊熟期)および成熟期ワラの粗蛋白質は、化学肥料と比べて牛糞たい肥を施用した区で大きくなる傾向が見られる。TDN、NO3-Nおよびβ-カロテンは試験区間に大きな差はない(表3)。
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試験2年目の跡地の可給態Nは、化学肥料区に比べて牛糞たい肥区で大きくなる(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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試験は同一圃場、同一設計で3ヵ年行った。
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普通期水稲の灰色低地土水田で活用できる。
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[具体的データ]
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表1 試験区の構成単位:kg/a

表2 飼料イネの生育および収量(2004年-2006年の平均値)

表3 飼料イネの成分(2006年産)および土壌の理化学性(2005年産跡地)
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[その他]
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研究課題名:新飼料イネの有機質肥料を活用した環境省力多収栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2004年〜2006年
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