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高温登熟条件下における背白米の発生に及ぼす玄米タンパク質含有率の影響


[要約]
出穂後20日間の平均気温27〜28℃においては、玄米タンパク質含有率6.0%を下回ると背白米発生割合が増加する。28℃以上になると、高温登熟性の劣る品種では玄米タンパク質含有率を高めても背白米の発生軽減は困難である。

[キーワード]
高温、登熟温度、玄米タンパク質含有率、背白米、玄米品質

[担当]
鹿児島県農業開発総合センター・園芸作物部・作物研究室

[代表連絡先]電話099-245-1126	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
普通期早生品種「ヒノヒカリ」は、普通期栽培粳種作付面積の88%(平成19年)を占めているが、高温登熟性が劣るため、近年、背白米の発生による品質低下が問題になっている。さらに早期栽培用品種「イクヒカリ」においても、高温登熟性が劣るため同様の問題がみられている。これまで背白米については出穂後20日間の平均気温(以下、登熟温度)27℃以上で発生することが明らかになっている。
そこで、外観品質低下の軽減や高温登熟性の優れる品種育成のための基礎的な知見を得るため、背白米発生と施肥量及び玄米タンパク質含有率との関係を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 窒素施用量と背白米発生割合との間には有意な負の相関関係があり、窒素施用量が少ないほど背白米発生割合は高い値を示す。増肥による背白米発生の軽減効果は、コシヒカリ(高温登熟性“中”)に比べてイクヒカリ(同“やや弱”)が顕著である(図1)。

  2. コシヒカリ、イクヒカリともに窒素施用量と玄米タンパク質含有率との間には有意な正の相関関係があり、窒素施用量が多いほど玄米タンパク質含有率は高くなる(図2)。

  3. 登熟温度28℃以下の条件においては、玄米タンパク質含有率と背白米発生割合との間に負の相関関係が認められる。高温登熟性の違いによる品種間差異がみられるが、玄米タンパク質含有率6.0%を下回ると背白米の発生割合が増加する(図3)。一方で7.0%を超えると食味が低下する(データ略)ことから、玄米の外観品質と食味を考慮した玄米タンパク質含有率は6.0〜7.0%の間が望ましい(図3)。

  4. 登熟温度28℃の以上の条件においても玄米タンパク質含有率の増加による背白米発生軽減効果が認められる。しかし、高温登熟性の違いによる品種間差異が大きく、ふさおとめ(高温登熟性“強”)、コシヒカリ(同“中”)以外の高温登熟性の劣る品種では玄米タンパク質含有率7.0%においても背白米の発生が多くみられる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 食味重視により肥料切れにならないように留意し、地力に応じた施肥法に努める。

  2. 登熟温度28℃以上では高温登熟性の優れる品種導入が必要である。

[具体的データ]

図1 窒素施用量と背白米発生割合の関係(2004〜2005年)


図2 窒素施用量と玄米タンパク質含有率の関係(2004〜2005年)


図3 登熟温度28℃の違いが玄米タンパク質含有率と背白米発生割合の関係に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:普通期水稲の新品種育成試験
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2006年度


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