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登熟期間中の温水処理による高温登熟性に優れる水稲品種の選抜方法


[要約]
登熟期間中に温水処理を利用して登熟温度を27℃以上にすることにより、白未熟粒歩合の品種間差を大きくできる。また、白未熟粒歩合10%未満を指標にすると、高温登熟性に優れる水稲品種を効率よく選抜できる。

[キーワード]
水稲、高温登熟性、育種法、温水処理、白未熟粒歩合、登熟温度

[担当]
福岡農総試・農産部・水稲育種チーム

[代表連絡先]電話092-924-2937	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]研究・参考	

[背景・ねらい]
近年、水稲では登熟期間中に高温で経過することが多く、心白・背白・乳白米等の未熟粒(以下、白未熟粒)が多発し、玄米品質が著しく低下している。このため、玄米品質に及ぼす登熟期の気温の影響が小さく、高温でも安定して玄米品質が優れる品種の開発が強く望まれている。
そこで、高温耐性評価施設(図1)による登熟期間中の温水処理(35℃の温水循環)が玄米品質に及ぼす影響について検討し、高温登熟性に優れる品種を効率的に選抜する方法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 白未熟粒歩合は10%未満では1等〜2等上に品位格付けされる品種、系統の割合が高く、高温登熟性の選抜指標として有効である(図2)。

  2. 出穂後20日間の平均気温(以下、登熟温度)が27℃を超えると、白未熟粒歩合が著しく増加する(図3)。

  3. 本施設による登熟期間中の温水処理によって、登熟温度は平均1.5℃高くなり、極早生〜早生の品種、系統について登熟温度27℃以上の高温条件で登熟させることができる(図3)。それによって特に基部未熟粒の発生が増加して、白未熟粒歩合の品種間差が大きくなり、高温登熟性に優れる品種を効率よく選抜できる(図4、一部データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 高温耐性評価施設による温水処理を利用した、高温登熟性に優れる水稲品種の選抜技術として活用する。

  2. 白未熟粒歩合は、穀粒判別器(RGQI20A、サタケ社製)で測定した「乳白粒(心白粒を含む)」、「基部未熟粒」および「腹白未熟粒(背白粒を含む)」の粒数歩合の合計値である。

  3. 中生以降の品種を6月に移植すると、温水処理を行っても登熟温度が27℃を超えない場合があることから、移植期を早めるなどの検討が必要である。

[具体的データ]

図1 水稲高温耐性評価施設の概要

図2 白未熟粒歩合と検査等級との関係
 

図3 登熟温度と白未熟粒歩合との関係

図4 温水処理による白未熟粒歩合の変動

[その他]
研究課題名:味が冴える高温耐性品種の育成
予算区分 :県単
研究期間 :2005〜2006年度


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