貯蔵向けサツマイモ用小型自走式収穫機
- [要約]
- 本機は、大型スチールコンテナを搭載し、いも収納時の損傷軽減化と容器積み下し簡易化のための昇降フォークを装備した貯蔵向けサツマイモ用収穫機で、開発ベースは青果用サツマイモ等での利用が多い小型自走式収穫機である。
- [キーワード]
- サツマイモ、貯蔵向け収穫機、小型自走式収穫機
- [担当]
- 鹿児島県農総センター・大隅支場・農機研究室
[代表連絡先]電話0994-62-2001
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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でん粉輸入自由化に伴い、でん粉原料用から青果・加工用サツマイモへの転換が求められ、また、加工向け生産原料は、収穫機によるいもの損傷などに起因すると思われる腐敗等による歩留まり低下などの指摘が実需者からあり、貯蔵性の高い低コスト原料供給体制の確立が強く望まれている。これらのことから、生産者・加工業者のコスト低減と省力・軽作業化を目的とした新しい生いも貯蔵用収穫作業体系を確立するため、掘取・貯蔵・加工まで効率的に利用できる大型スチールコンテナ搭載型の収穫機を開発する。
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[成果の内容・特徴]
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開発機の概要
本機は損傷発生部位の少ない青果用サツマイモ仕様の小型自走式収穫機(GR650)をベースにした、貯蔵容器(大型スチールコンテナ:容量約500kg、折りたたみ)搭載型で、昇降フォークを装備している。昇降フォークは上下可動による容器積み下し簡易化と、上下・前後角の可動で積込コンベアと容器間の落差を少なくし、いも損傷軽減化を図るものである。
機体は、全長510cm、全幅265cm、全高167cm、質量1,370kgで、掘取コンベア、選別コンベア、積込コンベア等から構成され、走行部はゴムクローラである(図1、図2)。
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収穫作業能率
新しく開発した「
茎葉処理・藷梗引抜き機」と「
貯蔵向け小型自走式収穫機」の組み合わせ体系における収穫作業は、
で掘取前に藷梗を80%以上除去してあることから、
の収穫機上での人力藷梗除去作業が大幅に省力化され2.0h/10a(延べ6.1h/10a)で作業可能となる。慣行の「既存茎葉処理機」と「小型自走式収穫機」の組み合わせ体系における収穫作業に比べ、機械作業時間で1.5倍、延べ作業時間で2.0倍の能率向上が図られコスト低減が期待できる(表1)。
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掘取作業精度(損傷発生)
収穫後の出荷可能いも個数割合は98%(内訳:無傷82%、皮むけ小16%、皮むけ中0%)で、慣行の収穫機上において人力藷梗除去する体系と比べ同等以上の損傷軽減化が図られる(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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青果・加工・焼酎用途の貯蔵向け収穫に適する。
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茎葉処理・藷梗引抜き機「開発機」との組み合わせ利用が損傷軽減・能率向上の面から望ましい。
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必要枕地長:4〜5m
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コンテナ運搬法:クレーン付きトラックが望ましい。
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[具体的データ]
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図1 貯蔵向け小型自走式収穫機(スチールコンテナ搭載型)

図2 容器収納時の損傷軽減化(リフトフォーククによるコンテナ上下)

表1 収穫作業能率H17

表2 収穫作業時の損傷調査(品種:コガネセンガン、個数:%)H17
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[その他]
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研究課題名:加工用サツマイモの需要拡大のための高品質いも安定供給技術及び利用法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2005年度
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