サツマイモ茎葉回収機
- [要約]
- 開発したサツマイモ茎葉回収機は、塊根を損傷することなく茎葉を引抜き細断して回収する自走乗用型の収穫機で、人力による茎葉収穫作業の15〜20倍の能率向上が見込め、本機の利用により茎葉の大量収穫と家畜飼料としての利用が促進される。
- [キーワード]
- サツマイモ、茎葉、回収、塊根、収穫、飼料
- [担当]
- 鹿児島県農総センター・大隅支場・農機研究室
[代表連絡先]電話0994-62-2001
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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サツマイモの茎葉は生重で2〜5t/10a生産され、その殆どが収穫時に細断して圃場還元されている。この未利用資源を家畜飼料として積極的に活用するため、自走乗用型の茎葉回収機の開発と飼料化体系を確立する。また、長期的には生産現場における実証試験を実施しながら現地適応性を高めて実用化を図り、サツマイモの茎葉収穫技術の普及促進と畜産飼料の自給率向上に資する。
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[成果の内容・特徴]
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開発機の概要
本機は全長4.3m、全幅1.6m、全高2.9m、機械重量1740kg、エンジン出力18.4kw(25PS)で、ゴムクローラ走行部、渡り蔓切断カッタ部、蔓引抜兼搬送ベルト、細断カッタ部、収納部、マルチ裾浮かし部等から構成され、渡り蔓切断→茎葉引抜→搬送→細断→吹上げ→収納・マルチ裾浮かし→搬出を行う(図1)。
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作業性能
作業能率は品種や茎葉収量、ほ場形状等で変動するが、1.1〜1.6h/10aで手作業の15〜20倍の能率向上が見込める。茎葉の回収率は90%以上が見込め、細断長は3cm程度で細断型ロールベーラでの圧縮梱包にも適する。塊根の損傷は0.5%以下で塊根収穫への影響はない。なお、回収茎葉には、蔓に付着している土砂が1.1〜1.2%混入する(表1)。
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茎葉飼料化体系(牛の場合)
回収した茎葉の飼料化体系は、青刈給与体系、バンカーサイロ体系、ラッピング体系が想定される。各々の作業体系の所要時間は、茎葉収量3t/10aレベルの時、青刈給与体系1.3h/10a、バンカーサイロ体系3.6h/10a、ラッピング体系2.3h/10a程度である(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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本機は畦幅90cm以上のマルチ栽培に適応し、標準的な栽培様式は図1の通りである。また、枕地は3.0m以上必要である。
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茎葉の水分が80%以上と高いので、バンカーサイロ体系においては詰め込み前の予乾や発酵調製資材混合、ラッピング体系においては調製資材ほか水分調製対策(ビートパルプ混合等)を考慮する必要がある。
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[具体的データ]
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図1 サツマイモ茎葉回収機の概要と対応可能な畦形状

表1 サツマイモ茎葉回収機作業性能

表2 茎葉飼料化に係る作業時間
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[その他]
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研究課題名:サツマイモ茎葉及び加工残さの効率的利用システムの開発
予算区分 :バイオリサイクル
研究期間 :2004〜2006年度
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