サトウキビのセル成型苗の育苗方法
- [要約]
- サトウキビの一芽苗による効率的な育苗方法を開発するため、軽量で作業効率の高い一芽苗切断機を開発した。また、育苗に適応するようセルトレイの規格を定めた。これによって安価で健全なセル苗を生産できる。
- [キーワード]
- サトウキビ、セル成型苗、切断機、セルトレイ、育苗
- [担当]
- 沖縄県農研・作物班
[代表連絡先]電話098-840-8505
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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サトウキビ新植後およびハーベスタ収穫後の株出しほ場では15%程度の欠株が発生することがある。欠株近くの株を分けて補植する例が見られるが、重労働で、実用性が低い。効率的で経済的な補植作業のために、一芽苗を利用したセル成型苗の育苗システムを開発する。
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[成果の内容・特徴]
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開発したサトウキビ一芽苗切断機(図1左)はガルバリウムメッキにより防錆効果が高く、軽量である。本機は並行する2枚刃により一動作で一芽苗を正確に50mmの長さに切断できる。また、不要な節間や不良芽子の選別が省け切断作業が省力化できる。
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開発したセルトレイ(図1右)は、切断長50mmで径の大きい一芽苗も収まり、十分な覆土厚が得られる。セルの容量は一芽苗に利用できる既存のセルトレイの1.7倍で、このセルトレイで育苗した苗は仮茎長が大きくなる(図2)。また、材質が厚く耐久性があり数回反復利用できる。
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夏期、秋冬期ともにセル成型苗は、健全芽子を利用すると発芽率が90%を超え、十分な発芽率である。
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夏期に仮茎長15cm以上で根鉢を形成したセル成型苗は、露地において40日程度で育苗できる(図3左)。また、秋冬期にハウスで育苗すると、露地と比較して仮茎長で1.5倍程度の伸びを示し良苗ができる(図3右)。秋冬期はパイプハウスの育苗で80〜100日程度要する。
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セル成型苗の労賃や資材費等1苗当りの育苗経費は露地では、8.6円、秋冬期ハウス育苗では4.4円加算され13.0円となり(表1)、側枝苗等に比べて安価である。
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[成果の活用面・留意点]
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12〜2月の株出し用の補植苗は、9月頃から露地で育苗する。3月、4月の補植苗は11月頃からハウスで育苗する。
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蔗茎基部の褐変した芽子は、催芽を確認してセルトレイに植付けるとセル成型苗として利用できる。
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セルトレイ底面で根が絡むのを防ぐため、育苗床はブロックの上にエキスパンドメタル等を載せた簡易な構造とし、セルトレイを直接地面に置かない。
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セルトレイは共同開発した東罐興産(株)より販売されている。
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[具体的データ]
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図1 一芽苗切断機(左)とセルトレイおよびセル成型苗(右)

図2 既存および開発したセルトレイでの仮茎長の比較

図3 セル成型苗仮茎長の比較

表1 サトウキビセル成型苗の育苗経費
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[その他]
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研究課題名:サトウキビの発芽安定と茎数確保技術
予算区分 :県単
研究期間 :2005〜2006年度
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