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ミカンジュース粕等添加飼料は豚の尿中窒素排せつ量を低減できる


[要約]
市販飼料にミカンジュース粕を15%、フィターゼ、不足するアミノ酸を添加した飼料を給与することによって発育・枝肉・肉質に影響を与えることなく、尿中窒素排せつ量を肥育前期において約40%、肥育後期において約15%減少させることができる。

[キーワード]
ミカンジュース粕、肥育豚、尿中窒素、アミノ酸、フィターゼ

[担当]
佐賀県畜産試験場・中小家畜部・養豚環境研究担当

[代表連絡先]電話0954-45-2030	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(豚・鶏)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
豚舎排水は窒素濃度が非常に高く、浄化処理における窒素除去は困難なものとなっているため、豚の尿中窒素排せつ量を少しでも低減させることは意義がある。繊維性の非澱粉多糖類を多く含みかつタンパク質含量が低い特徴をもつミカンジュース粕は尿中窒素排せつ量を低減させる効果があることが確認されている。しかし、ミカンジュース粕が発育・枝肉・肉質に与える影響については不明な点もある。そこで、市販飼料にミカンジュース粕を添加した飼料を肥育前期から出荷まで給与し、豚の発育・枝肉・肉質・尿中窒素排せつ量への影響を調査する。

[成果の内容・特徴]
  1. ミカンジュース粕の成分組成は一般配合飼料と比較すると繊維、カルシウムが多く、粗タンパク質、リンが少ない(表1)。

  2. 肥育前期において市販肥育飼料に外付けでミカンジュース粕を15%、塩酸L-リジンを0.1%、フィターゼ0.1%、肥育後期において市販肥育飼料に外付けでミカンジュース粕を15%、フィターゼ0.1%添加した飼料を給与することで発育、枝肉成績において市販飼料と比較して有意差が認められない(表2表3)。

  3. ミカンジュース粕添加15%飼料単価(円/kg)を平成19年11月現在価格で算出し市販飼料と比較すると肥育前期で2.4円、肥育後期で2.9円低下する。その結果、肥育豚1頭あたり肥育前期から出荷まで飼料費は644円低下する。

  4. ミカンジュース粕15%添加飼料は尿中窒素排せつ量を肥育前期において約40%、肥育後期において約15%減少させる(図1)。

  5. ランドレース種去勢豚を各区4頭用いた単飼試験の結果である。

[成果の活用面・留意点]
  1. ミカンジュース粕を外付けで15%添加すると粗タンパク質含量が養分要求量の1%前後低下するが、不足するアミノ酸を添加することによって、豚の発育・枝肉・肉質に与える影響を少なくすることができる。

  2. フィターゼの添加はミカンジュース粕添加によるリンの消化率低下の予防である。

[具体的データ]

表1 ミカンジュース粕と市販飼料の成分比較例(原物%)


表2 ミカンジュース粕添加が発育と枝肉に与える影響


表3 ミカンジュース粕添加が肉質に与える影響


図1 ミカンジュース粕添加が尿中窒素排せつ量に与える影響

[その他]
研究課題名:飼養管理における環境負荷低減技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2007年度


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