糸黒穂病抵抗性品種によりソルガムの糸黒穂病の発生を低減できる。
- [要約]
- ソルガムの糸黒穂病は抵抗性品種を栽培することで、発生を低減することができる。
- [キーワード]
- ソルガム、糸黒穂病、抵抗性品種
- [担当]
- 大分農林水産研畜産・草地飼料担当
[代表連絡先]電話0974-76-1216
[区分]九州沖縄農業・畜産草地
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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大分県内において、ソルガム糸黒穂病の発生が認められた。本病害の明確な発生確認は本邦初であり、今後蔓延の恐れがある。収量及び嗜好性の低下等が懸念されることから、圃場における糸黒穂病に対する抵抗性品種の有無、及び薬剤の効果を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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糸黒穂病は茎、穂、及び茎鞘に発生し、始めは白い膜に覆われているが、破れると黒色糸状の菌糸体が露出し、胞子が飛散する(図1)。発生した個体は、生育が劣る(図2)。
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66品種・系統のソルガムおよびスーダングラスの糸黒穂病に対する抵抗性の圃場検定では、23品種が罹病せず、うち15品種について以後2年間の検定で罹病しない(表1、表2)。
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フルトラニル25%種子重量の1%、メプロニル75%種子重量の0.4%、チウラム80%種子重量の1%、キャプタン80%種子重量の0.4%の種子粉依による種子消毒は、糸黒穂病に対する効果を示さない(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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糸黒穂病が発生する圃場では、抵抗性品種を栽培することで、発生を低減できる。
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糸黒穂病が発生した場合は、早期に刈り取り、発生を最小限に留める。
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現在の発生場所は限定的であるが、今後拡大の恐れもあるので、注意を要する。
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糸黒穂病に関しては、抵抗性のメカニズム等で不明な点が多く、新規レースの発生等による抵抗性品種の罹病化に注意を要する。
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[具体的データ]
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図1 ソルガム糸黒穂病の病徴

図2 糸黒穂病の生育に対する影響(2番草稈長)

表1 抵抗性の検定に用いた66品種・系統

表2 圃場における糸黒穂病の罹病程度

表3 糸黒穂病に対する種子消毒の効果
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[その他]
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研究課題名:ソルガムの糸黒穂病および麦角病の蔓延防止技術の開発と農家現場への導入実証
予算区分 :えさプロ
研究期間 :2006〜2010年度
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