新導入暖地型牧草Brachiaria属の種子繁殖特性の品種・系統間差異
- [要約]
- 新導入暖地型牧草Brachiaria属の採種は沖縄で可能である。また、Brachiaria属品種の稔実種子の発芽率は採種後6ヵ月で40%以上を示す。さらに、導入系統の中には採種量が高く有望な育種素材が認められる。
- [キーワード]
- Brachiaria属、種子繁殖、採種関連形質、発芽率、品種・系統間差異
- [担当]
- 沖縄県畜研セ・育種改良班
[代表連絡先]電話0980-56-5142
[区分]九州沖縄農業(草地飼料作)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- アフリカ原産のBrachiaria属は多年生で、熱帯の南米諸国の草地に広く導入されている。従来、草地造成は栄養体で行われていたが、現在では薬剤処理により休眠打破した種子を用いて行われている。近年、ブラジルで育成されたBrachiaria Brizantha`MG5'は沖縄県の奨励品種であるローズグラスよりも栄養価および採食性に優れる品種として期待されているが、九州以北での開花結実が認められない。そこで、亜熱帯気候の沖縄県で、CIATから導入した`MG5'を含むBrachiaria属7品種・10系統の種子繁殖特性について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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- B.Brizanthaの採種関連形質では夏期開花日が5月14日から未出穂まで、千粒重は3.0gから9.1gまで品種・系統間差異が認められる。この中でCIAT16315は採種量が16.6kg/aと高く有望な育種素材である(表1)。
- B.Brizanthaを除く品種系統の中で、CIAT6369は稔実率および採種量が56.9%および6.1kg/aと最も高い。しかし`Tully'、`Kennedy'および`MURATO'は稔実率が10.6%、12.3%および1.4%、採種量が0.03kg/a、0.1kg/aおよび0.1kg/aと低い(表1)。
- Brachiaria属品種の発芽率は採種後4ヵ月から10%以上、採種後6ヵ月には40%以上となる。しかし、採種後9ヵ月には`MG5'は77.3%と高く、`MARANDO'と`MURATO'が29.3%、38.7%と低くなり、品種によって異なる傾向が認められる。B.ruziziensisはどの採種後月数も発芽率が高い(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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稔実率が高く採種性が高い系統は、交配育種を行う際の有望な材料となる。
- Brachiaria属は脱粒性が高いため、穂を網で袋がけにする必要がある。
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[具体的データ]
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表1 Brachiaria属系統の採種性関連形質(2007年次)

表2 Brachiaria属の発芽特性
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[その他]
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研究課題名:ブリザンタの省力的草地造成法の開発
(1)ブリザンタ栄養茎のセル苗による省力的造成法の開発及び種子繁殖の可能性の検討
予算区分 :委託「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業」
研究期間 :2004〜2007年度(平成14〜19年度)
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