超音波診断で僧帽筋のシコリがわかる
- [要約]
- 肥育牛を生体で超音波診断し、得られた超音波画像を解析することにより、シコリが発生した僧帽筋を発見することができる。超音波診断画像におけるシコリの特徴は、僧帽筋の輝点が少なく単調な黒色に映り、背半棘筋および菱形筋の輝点が白く輝いて映る。
- [キーワード]
- シコリ、超音波診断、僧帽筋、黒毛和種
- [担当]
- 佐賀県畜産試験場・大家畜部・肉用牛研究担当
[代表連絡先]電話0954-45-2030
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- 枝肉に瑕疵が発生すると商品価値が低下し、肥育経営の大きな経済的損失となる。瑕疵のうち、筋肉水腫はその発生メカニズムや防止対策が確立されているが、シコリはまだ確立されていない。
- これまでのシコリについての報告は、枝肉の所見と血液性状等の臨床検査結果との関係による調査方法であり、肥育期間中にシコリを確認した報告がないため、シコリの発生時期や発生してからの様相はまだ明確になっていない。
- そこで、超音波診断法により試験牛や農家の肥育牛を調査し、シコリが発生した牛超音波画像の特徴を解析することにより超音波診断方法を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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僧帽筋にシコリが発生した肥育牛の超音波画像の特徴は、僧帽筋にシコリが発生しなかった牛の画像に比べると僧帽筋の輝点が少なく、単調な黒色に映り、背半棘筋および菱形筋の輝点が白く輝いて映る(図1)。
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また、超音波画像の僧帽筋が、輝点の少ない単調な黒色に映らなくても、背半棘筋および菱形筋の輝点が白く輝いて映れば、僧帽筋にシコリが発生していると診断できる(図2)。
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肥育牛を経時的に超音波診断することにより肥育の早期(肥育後9ヶ月)にシコリの発生を診断することが可能である(図2)。
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シコリが発生した牛の僧帽筋厚は、発生する前(3ヶ月前)に比べて1cm以上厚くなり、腫脹する(図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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生体時にシコリの発生を確認できるため、その時点における飼養法との関連を検討することが可能となる。
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僧帽筋以外や筋肉の一部に発生するシコリは、超音波診断では確認することができない。
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[具体的データ]
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図1 僧帽筋にシコリが発生した牛の超音波画像と発生しなかった牛の超音波画像の比較
 図2 肥育後9ヶ月で僧帽筋にシコリが発生した超音波画像 |
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図3 シコリ発生牛の僧帽筋厚の変化 |
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[その他]
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研究課題名:黒毛和種における一貫生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2008年度
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