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近赤外分光分析法によるウシ脂肪の脂肪酸含量および脂肪融点の推定


[要約]
ウシ脂肪を粉体用セルに入れ、近赤外分析装置で測定すると、ウシ脂肪の脂肪酸含量、モノ不飽和脂肪酸割合および脂肪融点を簡易に、迅速かつ非破壊的に測定できる。

[キーワード]
近赤外分光分析、ウシ脂肪、脂肪酸含量、モノ不飽和脂肪酸割合、脂肪融点

[担当]
鹿児島・畜試・肉用牛研究室

[代表連絡先]0995-48-2185	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)	
[分類]研究・参考	

[背景・ねらい]
牛肉の食味評価では、脂肪中のオレイン酸(C18:1)等のモノ不飽和脂肪酸が多いほど脂肪の融点が低くて軟らかいとされ、風味の評価が優れるとされている。また、牛肉の官能評価では風味の評価が優れるものが総合評価で優れることも明らかにされている。しかし、ウシ脂肪組織の脂肪酸含量や脂肪融点の分析には、多くの時間と多額の費用が必要なため、低コストで簡易な脂肪酸含量および脂肪融点の簡易測定方法を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. ウシ脂肪を粉体用セルに入れ、近赤外分析装置で測定することで、ウシ脂肪の脂肪酸含量(脂質100g中の脂肪酸重量g)および脂肪融点を推定する(表1)。

  2. ウシ脂肪のステアリン酸(C18:0)、リノール酸(C18:2)、モノ不飽和脂肪酸割合および脂肪融点については、EI(EvaluationIndex)が25.0未満となり精度の高い推定が可能である(表2図1図2)。

  3. 一般の化学分析と比べ簡易で、1サンプル当たり約5分と迅速に推定できる。

  4. 枝肉の格付決定前に、そのウシの枝肉脂肪の脂肪酸含量や脂肪融点の情報が得られ、この情報も加味した流通が可能となる。

[成果の活用面・留意点]
  1. モノ不飽和脂肪酸割合および脂肪融点と食肉の官能評価の関連が明確になれば、枝肉の脂肪を分析することで、牛肉の美味しさを数値化し、表示販売することが可能となる。
  2. ウシ脂肪を粉体用セルに入れる際には、試料と粉体用セルのガラスを密着させる必要がある。

[具体的データ]

表1 近赤外分析の方法


表2 近赤外分析の検量線によるウシ脂肪の成分指定精度

図1 モノ不飽和脂肪酸割合の分析値と近赤外分光光度計による推定値の関係

図2 脂肪融点の分析値と近赤外分光光度計による推定値の関係

[その他]
研究課題名:鹿児島黒牛の美味しさ評価技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2005年〜2007年度


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