Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成19年度目次

ブドウ無核「巨峰」の着色向上のための環状はく皮処理時期の拡大


[要約]
ブドウ無核「巨峰」栽培で、果実の品質を向上させるための環状はく皮処理は、満開25〜55日後に処理時期を拡大しても、果粒重や酸含量に及ぼす影響はほとんどなく、着色が明らかに向上する。

[キーワード]
ブドウ、巨峰、無核、環状はく皮処理時期、糖度、着色

[担当]
福岡農総試・果樹部・果樹育種チーム

[代表連絡先]電話092-922-4946	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
「巨峰」の無核果実は、着色開始後の糖度の増加程度が有核果実に比べて劣り、着色不良、低糖度等の品質低下が発生しやすい。また、果粒軟化期前の環状はく皮処理は、着色開始期の糖度を高くし、着色が向上するなど高品質果実の生産に有効とされている。しかし、果粒軟化期以降の着色の進みが悪い時に着色不良を回避することを目的とした環状はく皮処理の効果については不明である。そこで、ビニル被覆簡易雨よけ栽培条件下の無核「巨峰」栽培での環状はく皮処理時期を満開25〜55日に拡大した場合、果実品質特に着色に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 果粒軟化期前に環状はく皮処理をおこなうと、果粒重はやや小さくなるものの、着色が明らかに向上する。糖度は年次間差があるものの増加する傾向にある(表1)。

  2. 環状はく皮を果粒軟化期前に処理すると、着色開始期以降の糖度上昇が急で、着色の進行も早い傾向にある。また、果粒軟化期後の着色の進行が不良な場合でも、処理を行うことで、10日後には着色改善が期待できる(図1)。

  3. 環状はく皮処理時期を従来の果粒軟化期前から、満開25〜55日後に拡大しても、成熟期の果粒重や酸含量に及ぼす影響はほとんどなく、着色が明らかに向上する(表2)。

  4. はく皮部位は、満開25〜55日後の処理(処理幅2cmの場合)であれば、いずれも落葉期までには癒合する(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ブドウ「巨峰」の無核栽培の着色向上技術として活用できる。

  2. 環状はく皮処理方法は、「無核大粒ぶどう栽培手引き」(福岡県)に準じ、適正着果量(400g/1房、4000房/10a)を厳守する。

  3. はく皮部位は癒合不良等を回避するため、ビニルテープ等で保護する。

[具体的データ]

表1 環状はく皮処理Zがブドウ「巨峰」の無核果実の品質Yに及ぼす影響(2004〜2005年)


図1 環状はく皮処理時期の違いとブドウ「巨峰」の無核果実の果皮色、糖度の経時的変化(2006年)


表2 環状はく皮処理時期の違いがブドウ「巨峰」の無核果実の品質Zに及ぼす影響(2006年)

[その他]
研究課題名:ブドウ「巨峰」の無核栽培における果実品質向上技術の確立
予算区分 :経常
研究期間 :2004〜2007年度


目次へ戻る