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極早生ウンシュウ「岩崎早生」の高温処理による高商品化


[要約]
集荷時に糖度が平均11.3、クエン酸含量が平均1.02%の極早生ウンシュウ「岩崎早生」の果実を高温処理(温度35℃、湿度90%〜100%の3日間)することで、着色および減酸が促進され商品果率は処理前の約2倍となり、果実の商品性は向上する。

[キーワード]
極早生ウンシュウ、高温処理、減酸、着色、商品果率

[担当]
佐賀果樹試・常緑果樹研究担当

[代表連絡先]電話0952-73-2275	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
極早生ウンシュウの商品果率を高めるため、JAからつ上場地区営農センター所有の高温処理施設を利用して「岩崎早生」の大量果実の着色や減酸を短期間に促進し、高商品化を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. 集荷時のクエン酸含量が平均1.02%で、商品果の品質基準(クエン酸含量で1.0%以下)を満たす割合が4割程度の果実は、高温処理により減酸が図られ、品質基準を満たす果実の割合は7割程度に増加する(図1表1)。

  2. 高温処理により未着色面積割合は減少し、着色が促進される(図2)。

  3. 商品果率は、高温処理により集荷時の約2倍となり、高商品化が図られる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 現場のカラーリング施設などを利用して高温処理を実施する場合には、処理に必要な環境条件(温度35℃、湿度100%)を実現できるように事前に施設の条件(施設の規模、保温性、加温装置や加湿機、循環扇の能力)や果実の入庫量と温湿度分布の状況を調査して対策を講じる必要がある。

  2. 施設内を最適な温湿度分布で維持できるように、入庫後の温湿度分布や結露の発生状況を確認しながら、加温装置や空調の調整を行う。

  3. 最上段のコンテナなど昇温が早く温風が直接当たりやすい場所は、減量しやすくヘタ枯れが生じやすいため、透湿性シート等で被覆して果実からの過剰な蒸散を抑える必要がある。

  4. 処理終了後は結露の発生を抑えるため、施設を一度に開放せずに加温装置を送風のみで利用するなど、施設内の空気を循環させながら、徐々に開放して外気に慣れさせる。

  5. コンテナの配置は、風が循環しやすいように調整する。

[具体的データ]

写真1 「岩崎早生」の集荷果実の高温処理

図1 高温処理前後の酸度分布の変化
 
図2 高温処理前後の未着色面積の変化


表1 高温処理前後の果実品質と商品果率の変化(2007.10.14)

[その他]
研究課題名:国産果実の輸出促進に向けた低コスト生産・流通システムの開発
課題ID:1913
予算区分 :高度化事業(果実輸出)
研究期間 :平成19〜21年度


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