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隔年交互結実栽培における夏季せん定の超省力「45°せん定法」


[要約]
早生、普通ウンシュウの隔年交互結実栽培の遊休年において、エンジン付きヘッジトリマーによる夏季せん定を植栽列に沿って45°程度の角度で実施すると、従来の刈り込みハサミせん定、ヘッジトリマー慣行樹型せん定より、それぞれ約1/10、1/2の時間短縮が図れる。また、本法による夏枝の発生、翌年の着花、果実品質、収量への影響はない。

[キーワード]
隔年交互結実栽培、夏季せん定、45°せん定法、省力、ヘッジトリマー

[担当]
佐賀上場営農セ・研究部・畜産果樹研究担当

[代表連絡先]電話0955-82-1930	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
隔年交互結実栽培において遊休年の盛夏期にせん定をおこなうことは、大変な作業である。現在おもに用いられている刈り込みバサミによるせん定は長時間を要し、エンジン付きヘッジトリマーは作業時間の短縮は図れるが、重く操作しづらく重労働となる。そこで、より労働負担の少ないせん定法を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 夏季せん定をエンジン付きヘッジトリマーを用いて樹冠頂部から45°程度の角度で直線的な刈り込みを実施することで、せん定時間を従来の刈り込みバサミせん定の1/10、ヘッジトリマー慣行樹形せん定の1/2に短縮できる(図1表1)。

  2. 45°せん定は夏枝の発生量が増え、長さもやや長くなるが、生産年の着花、着果にはほとんど差がない(表2)。

  3. 樹冠内部の照度はやや低下し枯れ枝の発生も多くなるが、通常の防除により十分に黒点病の発生を抑制できる(表3)。

  4. 連年栽培は裏年の収量が低下するのに対し、隔年交互結実栽培の生産年である45°せん定は収量が安定し、果実階級はM、L、2Lで80%となる(図2図3)。

  5. 4か年の果実糖度は連年栽培の裏年で不安定であるのに対し、慣行せん定と同様に安定する(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 早生、普通(高糖系)ウンシュウに適用でき、早生ウンシュウは40年生位までの高齢樹においても適用可能である。

  2. 初年度は強目のせん定となる。夏芽の発芽数を多くし、秋芽の発芽を抑えるため、せん定直後に十分な灌水、全摘果を実施する。

  3. 列状にせん定を行うため、樹冠が交差する場合は縮伐や間伐により独立樹を維持する。

[具体的データ]

図1 45°せん定法の概要


表1 夏季せん定のせん定時間(2005)


表2 「清水4号」における夏枝の発生と翌年の着花


表3 45°せん定が枯枝と黒点病発生に及ぼす影響(2006)


図2 45°せん定が「清水4号」の果実階級に及ぼす影響(2006)


図3 45°せん定が「清水4号」の収量および糖度の推移

[その他]
研究課題名:上場土壌の特長を生かした完熟みかん生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2007年度


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