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ニホンナシ「幸水」のトンネル栽培における年1回施肥法


[要約]
ニホンナシ「幸水」のトンネル栽培において、肥効調節型肥料による県基準8割量の年1回施用は、一樹あたりの収量、果実品質で年4回施肥と同等である。肥効調節型肥料は、施肥労力の省力化が図られるとともに、環境負荷軽減に繋がる。

[キーワード]
ニホンナシ、幸水、トンネル栽培、肥効調節型肥料、環境負荷軽減

[担当]
熊本農研セ果樹研・病虫化学研究室

[代表連絡先]電話0964-32-1723	
[区分]九州沖縄農業・果樹、生産環境(土壌肥料)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
近年ナシでは、樹勢低下や着花不良等のため単位面積当たりの収量が低くなっており、これが販売価格の低迷とともに農家経営を不安定にしている最大の要因になっている。そこで、効率的に吸収される肥効調節型肥料を活用して、樹勢強化による安定生産を図るとともに土壌から溶脱する硝酸態窒素を少なくする施肥体系の確立を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. 雑草草生栽培における肥効調節型肥料の溶出率は、地表面施用と地中施用(深さ10cm)で差が少ない。このため、草生栽培で肥効調節型肥料を導入する場合、地表面施用が可能である(図1)。

  2. 6〜8月の葉中窒素含量は処理2年目から肥効調節型肥料区(県基準の8割量施用1回施肥)が対照区(県基準4回施肥)に比べやや高くなる(図2)。

  3. 肥効調節型肥料区で、一樹あたりの収量、果実品質(一果重、果皮色、果実硬度、糖度)は対照区と同等である(表2)。

  4. 肥効調節型肥料による年1回施肥で、樹勢の安定が図られるとともに、施肥労力の省力化が図れる。また、年間窒素投入量も県基準の8割量となるため土壌からの硝酸態窒素の容脱を少なくすることができ、環境負荷が軽減される。

[成果の活用面・留意点]
  1. 肥効調節型肥料施用の場合、土壌条件は問わないが、土壌が過乾燥のときは窒素の溶出やその根群域への浸透が遅れるので注意する。

  2. 肥効調節型肥料施用の場合、減肥の割合は、堆きゅう肥施用の有無、その種類、施用量並びに土壌診断結果に基づき決定する。

  3. 肥効調節型肥料の窒素溶出速度は地温に強く影響されるので、11月下旬の施用時期を厳守する。

[具体的データ]

表1 試験区の構成と施肥時期・施肥量


図1 地表面施用と地中(深さ10cm)施用における溶出率


図2 葉中窒素含量の推移


表2 果実品質

[その他]
研究課題名:早生・中生ナシにおける単収増大のための樹勢及び着果安定技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2005年度


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