モモのトンネルハウス栽培による収穫の前進化と品質向上
- [要約]
- モモのトンネルハウス栽培は、露地栽培に比べ、高品質な果実が生産でき、収穫期が1週間程度前進化できる。天井ビニールの被覆時期については、2月下旬または3月初めが適する。天井ビニールの除去は、収穫後なるべく早期に行う。
- [キーワード]
- モモ、施設栽培、トンネルハウス、収穫期、品質向上
- [担当]
- 熊本県農研セ・球磨研
[代表連絡先]電話0966-45-0470
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
-
[背景・ねらい]
-
加温や無加温ハウス栽培のモモは、露地栽培より果実品質が安定しており、高単価で販売されているが、施設導入費用が高価であるため普及面積が限られている。そのため、低コストで導入可能なトンネルハウスでの高品質・安定生産のための栽培技術を確立する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
樹体生育は、トンネルハウス栽培が露地栽培よりやや旺盛となる(データ略)。
-
開花期と収穫期は、トンネルハウス栽培が露地栽培より1週間程度早い(表1)。
-
天井ビニールの被覆開始時期(2月上旬、2月中旬、3月初め)は、開花期と収穫期にはあまり影響しない(表1)。したがって、2月下旬〜3月初めの被覆開始が適する。
-
健全果率は、トンネルハウス栽培が露地栽培より高かった。また糖度は、「はなよめ」で約1度、「日川白鳳」で約2度高い傾向がみられた(表2)。
-
天井ビニールの除去時期は、収穫後が収穫前より果実の品質や貯蔵性が優れる(表3、図1)。ただし、収穫後は施設内が高温となり、樹体に悪影響を及ぼすおそれがあるため、なるべく早期に除去する。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
収穫期が「日川白鳳」より遅い品種は、本県では本格的な梅雨期での収穫となり、果実品質が低下するため、導入を避ける。
-
開花直前から結実期にかけて、-2℃以下の低温に遭遇すると、花や樹体に障害を受けるので、晩霜対策が必要である。
-
成熟期に棚面の温度が高温になり、果実品質や日持ち性に悪影響を及ぼす場合があるので、施設内の換気対策を十分に取りながら、適期収穫を心掛ける。
-
導入にあたっては、灌水設備を必ず設ける。
-
[具体的データ]
-

表1 天井ビニール被覆開始時期の違いによる開花期と収穫期への影響

表2 トンネルハウス栽培と露地栽培の果実品質比較

表3 天井ビニール除去時期の違いによる果実品質への影響

図1 天井ビニール除去時期の違いによる果実の貯蔵性への影響
-
[その他]
-
研究課題名:早生モモの施設栽培における低コスト・安定生産技術開発
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2007年度
目次へ戻る