雨よけ栽培による「富有」の12月出荷技術
- [要約]
- 「富有」を雨よけ栽培することで、収穫時期を1ヶ月遅らせて贈答用高級果実として出荷できる。樹上で生育する期間が長くなるため、果実が大きく、果色が良く、糖度も高くなる。併せて防虫ネットをハウスサイドに張ることにより、種子の入らない果実の割合が高くなる。
- [キーワード]
- カキ、富有、雨よけ栽培、抑制栽培
- [担当]
- 宮崎県総合農業試験場・果樹部
[代表連絡先]電話0985-73-7099
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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本県で栽培されているカキ主要品種「富有」は、平均気温が23℃以下になると果実が成熟を始め、平年における露地栽培での収穫時期(佐土原町)は11月中下旬である。雨よけ栽培により秋期の気温を高く維持し、成熟を遅らせることにより、12月中下旬に年末贈答用の高級果実として収穫することができるか検討する。
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[成果の内容・特徴]
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天井ビニルを3月中下旬から収穫後まで被覆し、換気温度25〜28℃、土壌水分pF1.8〜2.0で管理する雨よけ栽培により、秋期の気温低下を防止でき果実の成熟が抑制されるため、12月中下旬に収穫が可能となる(図1、表1)。
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雨よけ栽培により、露地栽培に比べて一果重が大きく、果色が良くなり、糖度も高くなる(表2、図2)。
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雨よけ栽培においてハウスサイドに4mm目の白色ネットを周年被覆することにより、無種子果率が高くなる(表2、図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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宮崎県では、雨よけ栽培において受粉を行わなくても生理的落果が少なく、無種子果の生産が可能である。
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[具体的データ]
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図1 ハウス内気温の状況(2006〜2007年、2ヶ年平均)

表1 雨よけ栽培による収穫期z)への影響

表2 雨よけ栽培による果実品質への影響(2005〜2007年、3ヶ年平均)
 図2 雨よけ栽培の果実 |
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 図3 雨よけ栽培による種子の少ない果実 |
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[その他]
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研究課題名:中山間地域の果樹産地再編のための新栽培技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2007年度
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