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冬どり縮み系ホウレンソウの適正播種期と収穫時期


[要約]
縮み系ホウレンソウ品種「寒味」と「ちりめん法蓮草」は、他の縮み系品種に比べ、糖度(以下Brix)が高く、ビタミンC含量も多い。また、収穫前7日間の平均気温が7℃以下となる時期(1月1半旬〜2月2半旬)に収穫するとBrix10%〜16%を確保でき、この時期に株重70gとするには10月4半旬〜10月6半旬に播種する。

[キーワード]
糖度、播種時期、品種、ホウレンソウ、縮み系

[担当]
福岡農総試・筑後分場・野菜チーム

[代表連絡先]電話0944-32-1029	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
近年、食生活が多様化している中、野菜の需要を維持・拡大していくためには、消費者ニーズを先取りした技術開発が必要である。ホウレンソウは健康野菜として消費者に根強い人気があり、最近は新しい食材として葉や食味に特徴のある縮みホウレンソウが注目されている。
そこで、本県の気象条件下において、高糖度のホウレンソウづくりを目指して、適品種の選定や播種期と収穫時期を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 「寒味」、「ちりめん法蓮草」は、他の品種よりBrixが高く、ビタミンC含量も多い傾向にある(表1)。

  2. Brixは、収穫期で異なり、収穫前7日間の平均気温と相関関係がある。特に2〜8℃の範囲では、高い負の相関がみられる。一部の産地で出荷規準となっているBrix10%以上となる収穫可能時期は、回帰式から、収穫前7日間の平均気温が「寒味」で7.3℃以下、「ちりめん法蓮草」で7.7℃以下となる時期である(図1図2)。

  3. 各品種とも株重と積算温度との間には、播種時期に関係なく、高い相関がある。株重70gを収穫するには、回帰式から、「寒味」で約874℃、「ちりめん法蓮草」で約880℃必要であると推測される(図3)。

  4. 「寒味」、「ちりめん法蓮草」における高糖度ホウレンソウ生産のための播種時期は、上記2、3の回帰式及び平成18年のような暖冬年の成績(図1)を加味して推定すると、播種時期は10月4半旬以降10月6半旬まで、収穫時期は1月1半旬から2月2半旬となる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は、久留米のアメダスデータや筑後分場データをもとに作成したため、他地域で栽培する場合は、気象データを調整する必要がある。

  2. 本成果は、露地栽培の結果である。雨よけ栽培の場合は、ハウスを開放し、低温にあてる等の対策が必要となる。

  3. 「縮み系ホウレンソウ品種」は、葉が縮んでいるため、泥はね等により汚れやすいが、マルチ使用により改善される。

[具体的データ]

表1 供試品種のBrixとビタミンC(平成18年)
 
図1 品種別の収穫日とBrix(平成18年)

図2 `寒味'と`ちりめん法蓮草'における
収穫前7日間平均気温とBrixの関係

図3 品種別の株重と積算温度との関係(平成17年)

[その他]
研究課題名:縮みホウレンソウの高品質・安定生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2005〜2006年度


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