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アスパラガスにおける省力的な減化学肥料栽培技術


[要約]
アスパラガス半促成長期どり栽培では、冬肥に10a当たり窒素成分でLPコートS160を26.5kg、5〜7月の各上旬に菜種油粕3〜4kg施用すると、慣行施肥に比べて総収量、L級以上収量を低下させずに化学肥料を半減し、施肥回数を3分の1以下に削減できる。

[キーワード]
アスパラガス、肥効調節型肥料、有機質肥料、省力、減化学肥料

[担当]
福岡農総試・筑後分場・野菜チーム

[代表連絡先]電話0944-32-1029	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
アスパラガス半促成長期どり栽培では、福岡県の減農薬・減化学肥料認証制度の基準(化学農薬散布回数18成分、化学肥料由来の窒素施用量53kg/10aの半分)を満たす安定生産技術が確立されていない。
そこで、化学合成肥料の使用量を窒素成分で50%以下に削減した減化学肥料栽培技術を確立するため、肥効調節型肥料と有機質肥料を組み合わせた省力的な施肥法を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. アスパラガス半促成栽培において、冬肥にLPコートS160を10a当たり窒素成分で26.5kg、5〜7月の各上旬にペレット状の菜種油粕を窒素成分で3〜4kgを合計3回施用する施肥体系により、化学肥料を50%削減した減化学肥料栽培が可能となる。なお、この施肥体系は、慣行に比べて窒素施用量を70%に、施肥回数を3分の1以下に減らせ、肥料代も35%削減できる(図1)。

  2. 減化学肥料体系の土壌溶液は、慣行に比べてpHが低下することなく安定する。また、硝酸イオン濃度は、慣行に比べて6月までは低いが、気温が上昇し夏秋芽の収量が増加する7月以降は同等に推移する(図2)。

  3. 減化学肥料体系の収量は、慣行に比べて夏秋芽および翌年の春芽並びにそれぞれのL級以上の収量とも低下しない。また、近紫外線除去フィルムと一般フィルム被覆下での差は認められない(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本試験成果は、1月に完熟堆肥(牛糞堆肥10t/10a程度)を施用することが前提条件である。なお、牛糞堆肥は、1年以上腐熟させたキノコ廃培地でも代用できる。

[具体的データ]

図1 減化学肥料および慣行施肥体系における10a当たり窒素施用量と施肥回数


図2 アスパラガスの施肥法別土壌溶液の推移(平成17年)


表1 施肥法の違いと10a当たり収量

[その他]
研究課題名:アスパラガスにおける減農薬・減化学肥料栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2006年度


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