近紫外線除去フィルムのアザミウマとコナジラミの侵入抑制とその持続性
- [要約]
- 近紫外線除去フィルムの害虫抑制効果は、フィルムの紫外線透過率が8%以上では0%に比べて劣るが、5%以下では0%と同等に優れる。厚さ0.1mmの近紫外線除去フィルムは種類によって持続効果が異なり、2.5年間展張しても紫外線透過率が5%以下の資材がある。
- [キーワード]
- 近紫外線除去フィルム、紫外線透過率、アザミウマ、コナジラミ
- [担当]
- 福岡農総試・筑後分場・野菜チーム
[代表連絡先]電話0944-32-1029
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
- 近紫外線除去フィルムは、園芸施設に展張することでアザミウマやコナジラミなどの昼行性害虫の侵入を抑制できる。アスパラガスやネギ、コマツナなどの葉菜類の雨よけ栽培では、短期展張に使用する厚さ0.1mmのフィルムを周年展張し、台風等で破損しない限り3年程度展張するのが一般的である。このため、近紫外線除去フィルムの効果も3年程度持続することが望ましい。
- そこで、紫外線透過率と害虫侵入量の関係を明らかにし、厚さ0.1mmの近紫外線除去フィルムにおける害虫抑制効果の持続性を評価する。
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[成果の内容・特徴]
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ネギアザミウマおよびコナジラミ属の施設内侵入量は、350〜370nmの紫外部における平均透過率(以下、紫外線透過率)が高くなるほど増加する。フィルムの紫外線透過率が0%と5%では、これら害虫の侵入量は有意な差がないが、8%以上のフィルムは0%に比べて有意に増加し、害虫抑制効果が劣る(図1)。
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供試した厚さ0.1mmの近紫外線除去フィルムの紫外線透過率は、展張後1年経過時ではほとんど変化がないが、1.5年経過時より上昇し始め、2〜3年間の展張で紫外線除去効果の資材間差が大きくなる(表1)。
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厚さ0.1mmの近紫外線除去フィルムの中で、2年展張後に紫外線透過率が5%以下で高い害虫抑制効果が期待できる資材はPO系の4種類である。また、2.5年展張しても紫外線透過率が5%以下である資材は、スカイコート5UVおよびUVカットPOムテキの2種類である(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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近紫外線除去フィルムを選択する際の資料として活用できる。
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紫外線透過率の年次変化は、展張年の気象や展張場所などの条件により変わるため、紫外線透過率の測定値を参考にしてフィルムの張替えを行う。
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350〜370nmの平均透過率は、360nm付近の紫外線を中心に測定できるハンディタイプの紫外線強度計(UVA-365、カスタム製)による透過率で読み替えられる。
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[具体的データ]
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図1 フィルムの紫外線透過率の違いとネギアザミウマおよびコナジラミ属の侵入量との関係

表1 近紫外線除去フィルムの350〜370nmの紫外部平均透過率の経時的変化
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[その他]
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研究課題名:アスパラガスにおける減農薬・減化学肥料栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2006年度
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