Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成19年度目次

イチゴ高設栽培システムにおけるイチゴ後作チンゲンサイの栽培法


[要約]
イチゴ高設栽培システムで施設未利用期間を利用した後作品目として、チンゲンサイを導入する場合、不耕起で黒ポリマルチ被覆し、株間20cmで栽培すると、定植から35日程度でL級が収穫できる。

[キーワード]
チンゲンサイ、高設栽培、イチゴ後作

[担当]
長崎総農林試・作物園芸部・野菜科
[代表連絡先]電話0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
長崎県の主力品目であるイチゴは、近年価格低迷などにより収益低下が見られる。一部地床栽培農家では所得向上のため、イチゴ後作期間(5月下旬から8月上旬)に他品目を導入した事例があるが、高設栽培ではそのような活用がなされていない。そこで、イチゴ施設未利用期間の有効活用による所得向上を目的に、この時期全国的に生産量が減少する葉菜類で、短期間で栽培ができ軽量なチンゲンサイに着目し、イチゴ高設栽培システムでの栽培法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 高設栽培システムでのイチゴ後作におけるチンゲンサイの生育は、定植後約3週間が旺盛で、その後緩やかとなり、35日程度で出荷規格の生育量になる(図1)。

  2. チンゲンサイの定植床は、イチゴの地上部を除去しただけの不耕起栽培が、地下部まで取り除いた場合の耕起床より、チンゲンサイの生育は優れ、収量は1,370kg/10aで2割程度増加する(図1図2)。

  3. チンゲンサイは、黒ポリマルチや太陽シートなど通気性がない資材を用いたマルチ栽培が収量が高い(図2)。

  4. チンゲンサイの黒ポリマルチ栽培の株間は、多収でM級が中心の15cmより、商品性の高いL級の生産が多い20cmが適する。(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. イチゴ高設栽培システムの施設未利用期間中の作目導入に活用する。

  2. 新しいベンチ培土では、石灰欠乏症が発生しやすいため、かん水に留意する。

  3. 本試験は、定植前のEC0.42dS/mの長崎県型イチゴ高設栽培システムに定植し、基本的に基肥は施用せず、生育状況によりジャンプ錠(N10、定植後5日目)、液肥(大塚ハウス1号、2号6/12、カルハード700倍6/21)を施用した。

  4. イチゴの定植準備作業に支障をきたさないよう、チンゲンサイは計画的に作付けをする。

[具体的データ]

図1 定植後日数と最大葉長

図2  マルチおよび耕起・不耕起の違いによる収量


図3 規格別収量および1株当たりの出荷調整重量

耕種概要
品種:四季三昧(八江農芸)
播種:4月24日定植:5月24日収穫:6月27日
栽培様式:天井ビニールの上に遮光資材(ダイオミラー)を被覆した雨よけ栽培。防虫網設置
栽植密度:条間15cm株間20cm(10,500株/10a)株間15cm(14,000株/10a)

[その他]
研究課題名:地域ブランドに向けた野菜の生産技術確立
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2007年度


目次へ戻る