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雨よけニガウリ栽培における早期多収のための誘引・仕立て方法


[要約]
雨よけニガウリ栽培では、垂直面横誘引で主枝の仕立て本数を5本/株、初期の栽植密度を500株/10aとすると、収穫初期(5〜6月)の収量が最も高い。また慣行の誘引・仕立て方法と比べても収穫初期の商品果収量が高く、主枝1本あたりの商品果収量も高い。

[キーワード]
ニガウリ、雨よけ栽培、誘引・仕立て方法、初期収量向上

[担当]
大分農林水産研野茶・野菜担当

[代表連絡先]電話0974-22-0671	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
雨よけ栽培のニガウリでは5〜6月が高単価のため、初期収量向上技術が求められている。そこで、初期収量向上のため誘引方法の改善、主枝本数および栽植密度の検討を行う。

[成果の内容・特徴]
  1. 垂直面横誘引は、親蔓摘心後に伸びてきた子蔓を主枝とし、各段の誘引線上に主枝を分けて横方向に誘引していく方法である(図1)。着果は主枝のみとし、主枝から出る側枝はすべて除去する。

  2. 垂直面横誘引の場合、収穫期間を通しての商品果収量は主枝本数1000本/10a(主枝5本/株、栽植密度200株/10a)と1250本/10a(主枝5本/株、栽植密度250株/10a)では約6t/10aと同程度であるが、6月の商品果収量は1250本/10aのほうが24%高い(図2)。

  3. 初期の栽植密度を500株/10a(主枝5本/株、主枝本数2500本/10a)にすると250株/10a(主枝5本/株、主枝本数1250本/10a)に比べ5〜6月の商品果収量が47%増加する(図2)。

  4. 収穫期間を通しての商品果収量は垂直面横誘引と慣行の誘引・仕立て方法(棚誘引、初期の主枝4本/株)いずれも約8t/10aであり、誘引・仕立て方法による違いは見られない。垂直面横誘引は棚誘引に比べ初期の主枝本数が1本/株多く、垂直面横誘引のほうが5〜6月の商品果収量は47%、主枝1本あたりの商品果収量は18%高い(図2)。

  5. 5〜6月の販売額の試算では、垂直面横誘引で103万円/10a、棚誘引で70万円/10aであり、棚誘引よりも垂直面横誘引のほうが5割高い(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 垂直面横誘引は3月下旬定植の雨よけ栽培に適する。

  2. 定植直後の低温時期は不織布等でトンネル被覆し保温する。

  3. 栽植密度が500株/10aの場合は茎葉が繁茂するので、7月以降に株数を半数に間引くとよい。

  4. 垂直面横誘引では、整枝・誘引作業が棚誘引に比べ煩雑になる。

[具体的データ]

図1 垂直面横誘引の図


図2 各試験別の月別商品果収量

注1)耕種概要
 品種:えらぶ(八江農芸)
 定植:2005年4月11日、2006年3月17日、2007年3月22日
 栽植様式
  2005年 主枝600本/10a:主枝3本/株、栽植密度200株/10a
       主枝1000本/10a:主枝5本/株、栽植密度200株/10a
       主枝1250本/10a:主枝5本/株、栽植密度250株/10a
  2006年 250株/10a:主枝5本/株、栽植密度250株/10a
       初期500株/10a:主枝5本/株、栽植密度は初期500株/10aで7月11日以降250株/10a
  2007年 垂直面横誘引:主枝5本/株、栽植密度は初期500株/10aで7月23日以降250株/10a
       棚誘引:主枝4本/株が棚に到達後放任、栽植密度は初期500株/10aで7月23日以降250株/10a
注2)2006年はネコブセンチュウによる被害が多かった


図3 5〜6月の販売額の試算

[その他]
研究課題名:ゴーヤ(ニガウリ)の高品質安定多収技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2005〜2007年度


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