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イチゴ「あまおう」早期作型における定植後遮光処理による1〜2月収量の増加


[要約]
イチゴ「あまおう」の夜冷短日処理苗を用いた早期作型で、黒色寒冷紗による遮光を定植直後から9月25日の間に開始し、10月20日に終了すると無被覆に比べて、頂果房と第1次腋果房間の葉数が少なく、第1次腋花房の花芽分化が早くなり、1〜2月の収量が多くなる。

[キーワード]
イチゴ、あまおう、第1次腋花房、黒色寒冷紗、遮光

[担当]
福岡農総試・野菜栽培部・イチゴ栽培チーム

[代表連絡先]電話092-922-4364	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
イチゴ「あまおう」の早期作型では、秋季の高温などにより強草勢となり、第1次腋花房の花芽分化が遅れやすく1〜2月に収穫の中休みが長期間にわたるために、安定出荷できる技術確立が求められている。早期作型の「あまおう」では基肥量が多い場合に第1次腋花房の花芽分化が遅れるため、とよのか配合肥料では10a当たり窒素成分で8kg程度を適正値として普及している。さらに、第1次腋花房の花芽分化の安定化を図るため、夜冷短日処理苗を9月中旬定植する早期作型において定植後の遮光処理技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 遮光すると気温、地温、葉温、クラウン内部温度ともに低くなる(図1、一部データ略)。

  2. 遮光すると第1次腋花房の花芽分化は、無遮光に比べ早くなる(表1)。

  3. 黒色寒冷紗による遮光を定植直後から9月25日の間に開始し、10月20日に終了すると頂果房と第1次腋果房間の葉数が少なくなり、第1次腋果房の開花が早くなる。しかし、頂果房の開花期が遅れ、花数が少なくなる傾向がある(表2、一部データ略)。

  4. 商品果収量は、25日間〜40日間の遮光により1〜2月が多くなり、年内および総収量は同等である(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 早期作型の冬季出荷量が増加するため、出荷量の平準化に役立つ。

  2. 低温暗黒処理苗でも活用できる。

  3. 遮光率60%前後の黒色寒冷紗(#610)を使用する。

  4. 遮光処理のかん水は、無被覆のうね表面が乾かないようにかん水する時に同時に行った。

  5. 黒寒冷紗は、高さ1.0mに水平に、東・西・南面にも垂直に垂れ下がるように張り、南面の裾0.1mと東・西面の裾0.7m及び北面は無被覆状態とした。

[具体的データ]

図1 遮光処理と葉温、クラウン内部温度(平成18年)


表1 遮光処理期間と第1次腋花房花芽の発育(平成18年)


表2 遮光処理期間と開花日、花数、果房間葉数(平成17年)


図2 遮光処理期間と収量(平成17年、18年)

[その他]
研究課題名:イチゴ「あまおう」の高所得経営を支援する生産技術の確立
予算区分 :経常
研究期間 :2005〜2006年度


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