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イチゴ「さがほのか」の40日間夜冷短日処理育苗による初期収量の向上


[要約]
イチゴ「さがほのか」では、40日間の夜冷短日処理育苗することで、頂花房および第1次腋花房の花芽分化を早進化できる。9月上中旬に定植すれば、年内から第1次腋花房が収穫でき、1月までの初期収量が増加する。

[キーワード]
イチゴ、さがほのか、夜冷短日、育苗、花芽分化、収量

[担当]
佐賀農業セ・栽培技術部・野菜研究担当

[代表連絡先]電話0952-45-2141	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
イチゴ「さがほのか」は、他の促成品種に比べて花芽分化しやすいものの、花数が少ないため、頂花房の収量は少ない。また、第1次腋花房の収穫開始期は、他品種より早いものの、通常の促成作型では、1月中旬以降となるため1月までの初期収量は、やや少ない。その部分を補うためには、頂花房と第1次腋花房を連続させ、しかも、第1次腋花房を年内から収穫することができれば、1月までの初期収量の向上が図れると思われる。そこで、低温・短日条件を与えて花芽分化させながら、苗の生育も促進する方法として用いられてきた夜冷短日処理育苗が、頂花房および第1次腋花房の花芽分化や初期収量に及ぼす影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. イチゴ「さがほのか」の定植前の子苗に対して、暗期15℃設定、8時間日長の低温・短日条件で40日以上処理すること(以下、40日連続夜冷育苗)で、第1次腋花房の花芽が誘導でき、第1次腋花房の収穫開始期が早まる(表1)。

  2. 40日連続夜冷育苗において、処理開始期に窒素成分量で560mg/株以上の置き肥、または、無施肥では、第1次腋花房が花芽分化しにくいため、処理開始期の施肥量を140〜280mg/株とすることで、低温処理による第1次腋花房の花芽誘導効果は高まる(表2)。

  3. 40日連続夜冷育苗後、9月上中旬に定植すれば、第1次腋花房は花房間葉数3〜4枚で11月に出蕾・開花し、年内から収穫できる(表3)。

  4. 40日連続夜冷育苗によって、通常のポット育苗より収穫期が早進化することで、1月までの商品果収量は、多くなる(図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 夜冷短日処理期間は、日中高温となるため、遮光・雨よけ条件で行う。

  2. 6月中旬採苗、10.5cmのポリポットを用いた場合の成果である。

[具体的データ]

表1 夜冷短日処理育苗期間の違いと処理有効率および収穫開始日(2003)


表2 低温処理育苗中の施肥量の違いと処理有効率および収穫開始日(2004)


表3 夜冷短日処理育苗の有無、定植期の違いと頂花房、第1次腋花房の収穫開始期(2006)


図1 夜冷短日処理育苗の有無、定植期の違いと月別商品果収量(2006)

[その他]
研究課題名:魅力あるイチゴづくりを目指した「さがほのか」の効率的な計画生産・出荷技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2006年度


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