促成ピーマンの日射量に応じた変夜温管理による暖房費節減効果
- [要約]
- 昼間の日射量に応じた変夜温管理を行うことで、ピーマンの収量を維持しつつ暖房用の燃料消費量が削減でき、コストを低減できる。
- [キーワード]
- 促成ピーマン、日射量、夜温、コスト低減
- [担当]
- 鹿児島県農業開発総合センター・園芸作物部野菜研究室
[代表連絡先]電話099-245-1124
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- ピーマンは鹿児島県主要野菜の一つで、専作経営も多く見られる。しかし、近年の原油高騰により暖房コストが上昇し、高温性の作物であるピーマン生産にとって深刻な課題になっている。
- 暖房費節減技術の一つとして過去、日射量と変夜温管理に関する試験は取り組まれた経緯はあるが、促成ピーマンに関するものは少なく、十分な知見が得られているとは言えない。
- そこで、省エネ化を図るために日射量に応じた変夜温管理が促成ピーマンの生育、収量に及ぼす影響とコスト節減効果について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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- この試験における日射量に応じた変夜温管理とは、1日の積算日射量150cal/cm2を基準として、その値を下回る曇雨天日に17〜24時(前夜半)の温度を慣行に比べて2℃程度下げる管理方法である(表1)。
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日射対応管理の主枝、側枝、茎葉重は慣行管理に比べて重く、ピーマンの生育は促進される(表2)。
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日射対応管理の商品果収量、商品果率は、慣行管理と同等である(図1)。
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燃料消費量は慣行管理に比べて4〜10%少なく、暖房費が削減される(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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供試品種は`TM鈴波'(タキイ種苗)である。
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どちらも多段式サーモスタットを用いて変夜温管理を行った中での比較である。
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日射対応管理において夜温を下げた日数は、最も多かった12、1月で1月当たり15日程度である。
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日射計と多段式サーモスタット(四段サーモ)はセットで10万円程度で市販されており、農家の経営規模を考慮するとコスト低減効果は大きい。
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肥培管理等は、慣行のピーマン栽培に準ずる。
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[具体的データ]
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表1 設定夜温(平成16年度)

表2 栽培終了時の生育(平成16年度)

表3 処理期間の燃料使用量

図1 月別商品果収量と商品果率
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[その他]
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研究課題名:輸入増加に伴う低価格に対応した根深ネギ・施設果菜の省力・高品質多収栽培技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2006年度
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