炭疽病及び輪斑病に抵抗性を有する晩生の緑茶用新品種候補「宮崎25号」
- [要約]
- 「宮崎25号」は、チャの主要病害である炭疽病及び輪斑病に抵抗性を有し、「かなやみどり」より摘採期が1日遅い晩生系統である。製茶品質は「かなやみどり」より優れる。
- [キーワード]
- チャ、宮崎25号、品種、炭疽病抵抗性、輪斑病抵抗性、晩生
- [担当]
- 宮崎総農試・茶業支場・育種科
[代表連絡先]電話0983-27-0355
[区分]野菜茶業・茶業、九州沖縄農業・茶業
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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近年、安全・安心な農作物を求める消費者のニーズが大きくなっており、茶においても化学農薬の散布をできるだけ少なくした栽培管理が可能な病害抵抗性品種の育成が求められている。また、晩生品種においては、製茶品質に改善の余地がある「かなやみどり」に替わる品種の育成が求められている。このため、製茶品質に優れるとともに炭疽病及び輪斑病に抵抗性を有する多収品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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「宮崎25号」は、晩生で多収の「埼玉1号」を種子親、良質で炭疽病に抵抗性を有する「宮崎8号」を花粉親として1986年に交配されたF1実生群の中から選抜された系統である(図1、図2)。
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一番茶の萌芽期及び摘採期は、「やぶきた」より4日程度、「かなやみどり」より1日遅い晩生系統である(表1)。
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耐病性については、輪斑病にはやや強、炭疽病には強で、これらの病害に対しては抵抗性を有する。もち病抵抗性は中である(表2)。
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クワシロカイガラムシ抵抗性は中である(表2)。
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耐寒性は、赤枯れにはやや強、裂傷型凍害にはやや弱〜中である(表1)。
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生葉収量は、「やぶきた」より多い(表1)。
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製茶品質は、「やぶきた」程度であり、「かなやみどり」より優れる(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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「宮崎25号」は晩生系統で、全国の茶産地で栽培が可能であり、約200haの普及が期待される。
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裂傷型凍害抵抗性は、ハードニングが進んだ12月時点では「かなやみどり」以上に強いものの、11月段階では「やぶきた」よりやや弱いので、被害が発生しやすい幼木期においては肥培管理等に留意する必要がある。
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[具体的データ]
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図1 「宮崎25号」の育成系統図

図2 「宮崎25号」の一番茶新芽

表1 「宮崎25号」の栽培加工特性(育成地)

表2 「宮崎25号」の耐病虫性(育成地)
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[その他]
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研究課題名:茶樹新品種育成試験
予算区分 :指定試験
研究期間 :1986〜2006年度
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