イチゴうどんこ病の果実発病を抑制する本圃定植後の初期薬剤防除体系
- [要約]
- 促成栽培イチゴにおいて、うどんこ病の発病葉は果実発病の重要な伝染源となる。本圃定植後の初期薬剤体系防除(2週間間隔4〜5回)は、葉の発病を抑え、その後の果実発病を抑制する。
- [キーワード]
- イチゴ、うどんこ病、本圃、果実、薬剤防除、体系
- [担当]
- 佐賀農業セ・土壌環境部・病害虫農薬研究担当
[代表連絡先]電話0952-45-2141
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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イチゴうどんこ病は促成栽培の期間を通じて発生し、特に、果実が発病した場合は経済的な損失が大きいため、生産現場からは効果的な防除対策が求められている。そこで、本病による果実発病を抑制する薬剤防除体系を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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促成栽培イチゴの本圃において、うどんこ病は葉に初発生し、その後に生じる果実への重要な伝染源となる。また、葉での発病が多い程果実の発病も多くなる(表1、図1)。
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定植後〜11月下旬に2週間間隔で4〜5回防除する初期薬剤体系防除は、葉の発病を抑え、果実発病を抑制する(表1、表2)。
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初期薬剤体系防除後に1ヶ月間隔で4〜5回防除する薬剤防除体系は、栽培終了時(5月中旬)まで果実発病を抑制する(表1、表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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本圃でのうどんこ病の発生を安定的に抑制するため、育苗期の防除を徹底する。
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年内に発病が増加する場合は、罹病した葉、果柄、果実を除去し、薬剤の散布間隔を短縮する。
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DMI系及びストロビルリン系薬剤に対する耐性菌の発生を抑制するため、これらの薬剤の連用は避け、異なる系統の薬剤を組み合わせてローテーション散布する。
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[具体的データ]
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図1 頂果房発生期(12月)におけるイチゴうどんこ病の葉と果実の発病の関係

表1 本圃におけるイチゴうどんこ病の葉及び果実での発生推移と初期薬剤体系防除による果実発病抑制効果(場内試験)

表2 初期薬剤体系防除によるイチゴうどんこ病の果実発病抑制効果(現地試験)
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[その他]
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研究課題名:佐賀県特別栽培農産物認証制度に対応したイチゴ・ナスの病害虫防除体系の確立
予算区分 :国庫
研究期間 :2004〜2007年度
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