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光反射ネット設置と保毒ネギアザミウマ飛来期の殺虫剤散布によるトルコギキョウえそ輪紋病の効率的防除


[要約]
施設側面開口部への光反射ネットの設置とトルコギキョウえそ輪紋病未発生時期かつ病原ウイルスの保毒ネギアザミウマ飛来期に当たる5月下旬にアセフェート水和剤を2回散布することで、本病の発生はネット無設置かつ発病確認後の2回散布に比べて1割以下に抑制され、効率的な防除が可能となる。

[キーワード]
ネギアザミウマ、トルコギキョウ、えそ輪紋病、光反射ネット、防除

[担当]
佐賀上場営農セ・研究部・畜産果樹研究担当

[代表連絡先]電話0955-82-1930	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
トルコギキョウえそ輪紋病はIris yellow spot virus(IYSV)を獲得したネギアザミウマが伝搬するウイルス病であり、葉などにえそ症状を示すため商品性を著しく低下させる。IYSV保毒ネギアザミウマの飛来ピーク時期は5月下旬〜6月上旬であることと、光反射資材はアザミウマ類を忌避する効果を有することが知られている。そこで、光反射ネットとIYSV保毒虫飛来期の殺虫剤散布の組み合わせによる被害軽減効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 施設側面開口部への光反射ネット(図1図2)の設置により、ネギアザミウマの捕獲数が光反射ネット無設置に比べて施設外(施設側面から外側30cm、高さ50cm)、施設内(施設側面から内側30cm、高さ50cm)ともに抑制され(図3)、発病も光反射ネット無設置に比較して抑制される(表1)。

  2. 光反射ネット設置によるトルコギキョウの生育、品質への影響は認められない(データ略)。

  3. 本病の未発生時期かつ保毒虫飛来のピーク時期(九州沖縄農業研究成果情報第21号)に殺虫剤の2回散布を行うと発病確認後に2回散布するよりも発病抑制効果が高い(表1)。

  4. 両者を組み合わせると、発病は慣行防除(光反射ネット無設置かつ発病確認後2回散布)の1割以下に抑制される(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本試験は、光反射ネット設置区および無設置区ともに施設側面開口部に4mm目合いの防虫ネット既設置施設で実施した。

  2. 光反射ネットはスリムホワイト45(タイベック交織、目合い2mm×7mm)を用いた。試験面積は光反射ネット設置区、無設置区とも140m2であり、各々で1区16.8m2、3連性の殺虫剤散布試験を行った。

  3. 保毒虫の飛来時期及び飛来量は施設周辺の植生や環境により異なるため、それぞれの発生地域でネギアザミウマの保毒虫検定を実施し、殺虫剤の散布時期を判断する必要がある。

[具体的データ]

図1 光反射ネットの設置状況


図2 光反射ネットの拡大図


図3 施設内外の青色粘着トラップに捕獲されたネギアザミウマ雌成虫数(2007.4.19〜7.19)


表1 光反射ネット設置と殺虫剤散布時期の違いがトルコギキョウえそ輪紋病の発生に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:ネギアザミウマが媒介するウイルス(IYSV)の生態解明および防除技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2007年度


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