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ハウス天井部の早期被覆によるビワ果実腐敗の発生抑制


[要約]
ハウスビワ栽培で、耕種的防除として開花期から天井部ビニルの被覆を行うと、腐敗果の発生率は慣行栽培に比べ1/4〜1/6に低下する。果実腐敗の原因となる各種菌類の出現頻度は園地毎に異なるが、本防除法はいずれの糸状菌に対しても有効であり、腐敗果の発生を抑制する。

[キーワード]
ハウスビワ、果実腐敗、耕種的防除

[担当]
長崎果樹試・病害虫科

[代表連絡先]電話0957-55-8740	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
収穫・出荷後に発生する病害(市場病害)としてビワ産地のイメージダウンにつながる果実腐敗は、ビワ灰斑病菌やビワ炭疽病菌など数種類の菌類が開花期に感染・潜伏しているために発生する。一般に、露地ビワに比較してハウスビワでは腐敗果は少ないと考えられているが、年次や栽培条件によっては多発生する場合もある。このため、防除対策として開花期の薬剤散布が推奨されているが、その効果は十分ではない。そこで、病原体の生態に基づき、開花期の降雨を回避することで感染を防止する耕種的防除技術として、慣行に比べて早期に天井部の被覆を行った場合の腐敗果発生抑制効果を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. ハウスの天井部を10月末〜11月上旬に被覆(ハウス側面は開放)し開花期以降の降雨を避けて栽培した場合には、12月中旬に被覆した場合に比較して腐敗果の発生率は約1/4〜1/6に減少する(表1図1図2)。

  2. ハウスビワ腐敗果上に認められた果実腐敗の原因となる各種糸状菌の出現頻度は園地によって異なるが、本防除法はいずれの糸状菌に対しても有効であり、腐敗果の発生を抑制する。(図1表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ハウスビワ栽培園で、ビニル被覆開始時期を検討する場合に参考となる。

  2. 試験園は慣行によりミツバチ巣箱をハウス近傍に設置して受粉を促した。また、薬剤防除は現地慣行に準じて実施した。

  3. ハウス側面を開放しても高温による結果率の低下が懸念される園地では、降温対策を併せて実施する必要がある。

  4. 早期加温・早期出荷型のハウスビワ栽培では、被覆や加温の開始時期が異なるため、腐敗果の発生傾向は本成果情報と異なる可能性がある。

[具体的データ]

表1 試験園の栽培管理状況


図1 ハウス天井部の早期被覆によるビワ果実腐敗の発生抑制(2005-2006)


図2 ビワ開花期頃の日降水量(アメダスによる野母崎の観測値,2005年10〜12月)


表2 各試験園の腐敗果上に観察された糸状菌の類別

[その他]
研究課題名:ハウスビワの耕種的防除を基軸とした病害虫管理技術の実証
予算区分 :県単
研究期間 :2006年度


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