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キク寄生性ネグサレセンチュウ3種はPCR-RFLP法で識別できる


[要約]
キクに寄生するネグサレセンチュウ3種は、PCR法により増幅したrDNA ITS領域のHinf Iの断片パターンを比較することにより識別できる。

[キーワード]
キク、ネグサレセンチュウ、PCR-RFLP法

[担当]
九州沖縄農研・難防除害虫研究チーム

[代表連絡先]電話096-242-7734	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]研究・参考	

[背景・ねらい]
九州地域のキク圃場からは、これまで知られていたキタネグサレセンチュウ(Pratylenchus penetrans)、ニセミナミネグサレセンチュウ(P. pseudocoffeae)に加え、クマモトネグサレセンチュウ(P. kumamotoensis)がキクの新害虫として報告されている(参照:九州沖縄農業研究成果情報第20号、21号)。中でも、クマモトネグサレセンチュウはキクにおける増殖率が高く、九州のキク生産において最も重要な有害線虫である。
これら3種は形態学的手法により識別が可能であるが、煩雑な標本作成と専門知識が必要である上、2種以上が混発している場合には識別がきわめて困難となる。そこで、線虫1頭単位で迅速・簡便に識別が可能なPCR-RFLP法による識別法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. ネグサレセンチュウのrDNAITS(ribosomal DNA Internal transcribed spacer)領域をPCR法で増幅することにより、産物長の長いニセミナミネグサレセンチュウ(約1,000bp)と、産物長の短いキタネグサレセンチュウおよびクマモトネグサレセンチュウ(約800bp)が識別できる(図1図2)。

  2. 得られたPCR産物を制限酵素Hinf Iで消化した際の断片パターンにより、クマモトネグサレセンチュウ(800,450,340bp)とキタネグサレセンチュウ(380、140、100bp)が識別できる。(図1図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 生態の異なると考えられるネグサレセンチュウ3種の識別が容易に行えることから、今後これらの生態解明が進めば圃場に発生している線虫種に対応した防除対策が可能となる。

[具体的データ]

図1 キク寄生性ネグサレセンチュウ3種の識別手順


図2 ネグサレセンチュウ3種のPCR産物


図3 PCR産物のHinf I断片パターン

[その他]
研究課題名:暖地における長距離移動性、新規発生等難防除害虫の発生メカニズムの解明と総合防除技術の開発
課題ID:214h
予算区分 :基盤
研究期間 :2006〜2007年度


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