マンゴーで発生する果実障害とホウ砂散布による軽減効果
- [要約]
- 幼果期に果実内部がしみ様に褐変化し、肥大とともに果実の背部の果柄に近い部位が凹み奇形果になる障害は、開花終期の花穂にホウ砂溶液(0.2%)を散布することで軽減できる。
- [キーワード]
- マンゴー、果実障害、開花終期、花穂、ホウ砂
- [担当]
- 鹿児島農総セ・果樹部・環境研究室
[代表連絡先]電話0994-32-0179
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)、果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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マンゴーの施設栽培において、果実の背部が凹み商品性を大きく損なう障害が発生し問題となっている。本障害は、野菜等の他作物の事例からカルシウムまたはホウ素の欠乏が考えられる。そこで、マンゴーに対してこれらの成分の葉面あるいは花穂への散布による軽減効果を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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本障害は、幼果期に果実内部がしみ様に褐変化し、肥大とともに果実表面に凹みを生じるもので、果実の背部の果柄に近い部位に特異的に発生するのが特徴である(図1)。
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花穂にホウ砂溶液(0.2%)を散布した果実は、幼果のホウ素含量が高く、障害の発生も少ないことから、幼果期のホウ素欠乏が障害発生に関与している(表1、表2、図2)。
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本障害の発生は開花終期の花穂へのホウ砂の1回散布で十分に軽減できる(表1、図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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供試品種は「アーウイン」、土壌条件はシラスを主な母材とする灰色台地土である。
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散布時期である開花終期は、開花がほぼ終了し、花穂に2mm程度の幼果が多数着果した時期である。
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ホウ砂は水に溶けにくいため、透明になるまで十分にタンク内で攪拌する。なお、必要量を60℃程度の湯に溶かし希釈しても良い。
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ホウ砂散布では過剰症が発生しやすいので、溶液の濃度調整には十分に注意する。
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[具体的データ]
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図1 障害の様相

表1 試験区の構成

表2 幼果中のCa、B含量(2006年)

図2 障害果の発生率(開花終期処理3週間後の摘果前調査)
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[その他]
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研究課題名:消費者に喜ばれる個性的果樹の高収益栽培体系の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2008年度
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