Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成19年度目次

アスパラガスの春芽に対する冬肥窒素の施肥利用効率


[要約]
春芽栽培期間中のアスパラガスにおいて、1月20日から3月23日にかけて4回分施を行った場合、いずれの施肥時期でも肥料由来窒素は吸収されており、春芽に利用される窒素は前年貯蔵根蓄積分だけではない。立茎終了時までの施肥窒素利用率は12〜17%と低い。

[キーワード]
アスパラガス、春芽、施肥窒素利用率、冬肥、15N

[担当]
長崎総農林試・環境部・土壌肥料科

[代表連絡先]電話0957-26-3330	
[区分]九州沖縄農業・生産環境(生産環境・土壌肥料)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
半促成長期どりアスパラガス栽培において前年蓄積した貯蔵根養分で春芽は出芽すると一般的に言われていながら、春芽に対して冬肥は窒素8〜10kg/10a程度施肥されている。冬肥窒素の春芽への影響については明らかにされておらず、効率的な施肥を図る上で春芽の養分吸収パターンを把握することは必要である。そこで、アスパラガス春芽収穫期間中の施肥窒素の動態について重窒素を用いて明らかにすることで、効率的施肥管理技術確立のための基礎資料とする。

[成果の内容・特徴]
  1. 2月10日から4月11日にかけて収穫した春芽の若茎において、1月20日に施肥した窒素は他の施肥日に比べ施肥窒素寄与率が高い(表1)。

  2. 施肥時期別にみると、立茎終了時点での株全体の施肥窒素の利用率は各区それぞれ12〜17%程度と低い(表2)。

  3. 部位別にみると1月20日、2月10日の施肥窒素は根に最も多く吸収利用されている。後半の施肥の3月2日、3月23日の施肥窒素は立茎葉に最も多く吸収利用されている。(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 土壌表面積0.18m2×土壌深0.4mのポットの1株植えで2年生株の試験結果である。

  2. 供試土壌は中粗粒黄色土である。

  3. 根の動きと春芽の生育量に合わせた効率的施肥として、初期の土壌中窒素濃度を高め、春肥まで肥効が持続できる施肥体系の検討が必要である。

[具体的データ]


表1 春芽(若茎)における施肥窒素寄与率1)(%)


表2 施肥時期の違いによる施肥窒素利用率1)(%)

[その他]
研究課題名:アスパラガスの春芽に対する適正肥培管理の確立
予算区分 :国庫(土壌機能増進)
研究期間 :2005〜2007年度


目次へ戻る