ツバキ油の臭い軽減のために添加する甘夏エッセンスの最適採取時期および添加濃度
- [要約]
- ツバキハンドオイルに添加する甘夏エッセンスの採取時期は、着色初期が最適であり、添加するエッセンスの濃度は、0.5〜1.0%が良い。
- [キーワード]
- ツバキ油、甘夏、エッセンス、添加濃度
- [担当]
- 長崎総農林試・環境部・流通加工科
[代表連絡先]電話0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・流通加工
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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長崎県のツバキ油生産量は全国2位であり、そのほとんどが五島列島で生産されている。ツバキ油は、整髪料として一定の評価を得ているが、若い女性には「独特の臭いがある」、「べたつく」などの理由から敬遠されがちである。そこで今回、若い女性を対象に、五島産のツバキ油に、同地域で栽培されている甘夏の果皮から抽出したエッセンスを添加したハンドオイルを作成する(図3)。
- 本研究では、ツバキ油の独特の臭いを軽減するため、ツバキ油に添加する甘夏エッセンスの最適な採取時期および添加濃度を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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蒸留法により甘夏の果皮から取れるエッセンスの抽出率は果実肥大中期〜後期採取では0.3%と低く、着色初期採取で0.34%となり、成熟初期採取で0.45%と最も高くなる(図1)。
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ツバキ油に甘夏のエッセンスを添加した際の香りは、果実肥大中期〜着色初期に採取したものが良い。成熟初期に採取したものは香りが薄くなり評価が低く、成熟中期に採取したものは過熟臭が強くなり評価が低い(表1)。
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ツバキ油に添加した際の香りと抽出率の面から総合的に判断すると、甘夏エッセンスの最適な採取時期は着色初期である。
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ツバキ油に添加するエッセンスの濃度は、0.5〜1.0%が良い(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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甘夏のハンドオイルを作る時の参考にする。
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果実肥大中期〜後期の甘夏の果実は小さく、果皮は固いため、皮むき作業に手間がかかる。
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[具体的データ]
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表1 甘夏の採取時期と香りの評価

図1 甘夏の採取時期とエッセンス抽出率

図2 エッセンス添加濃度と官能評価

図3 新上五島町振興公社が発売した「カメリア510」
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[その他]
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研究課題名:五島つばきの新用途及び育成管理技術の開発
予算区分 :県単、特別研究
研究期間 :2005〜2007年度
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