Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成19年度目次

カット青パパイヤの微生物制御および鮮度保持条件


[要約]
カット青パパイヤの製造工程では青果やカット後の流水洗浄が重要であり、MA包装・5℃保存では異臭もなく10日間鮮度を維持できる。

[キーワード]
カット青パパイヤ、流水洗浄、MA包装

[担当]
沖縄農研・農業システム開発班

[代表連絡先]電話098-840-8512	
[区分]九州沖縄農業・流通加工	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
野菜用パパイヤ(青パパイヤ)は沖縄県の伝統的農産物であるが、前処理が煩雑であるため、近年ではカット製品(カット青パパイヤ)も流通している。利便性の高さから、カット製品は今後も販売額の増加が見込まれるが、その鮮度保持技術に関する知見は乏しく、加工法や保存条件等の検討が必要である。本研究では、カット青パパイヤの製造工程における微生物制御および鮮度保持条件について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. カット青パパイヤの加工工程では、青果及びカット後の流水洗浄によって製品中の一般生菌数は大きく減少し、貝殻焼成カルシウム水溶液による浸積処理によってさらに減少する。また、製品中のビタミンCは水溶性であるため、流水洗浄や浸漬によって2〜3割減少する(表1)。

  2. ナイロン袋を用いて密封・真空包装製品を試作し、12℃で保存すると、密封・真空包装ともに、微生物の増殖には影響を与えず、異臭の発生日時にも差がないが、真空包装ではより強い異臭が発生する(図1)。

  3. 包装資材にMA(Modified Atmosphere)フィルムとナイロンフィルムを使用し、保存温度を5℃と12℃として保存して比較すると、MA包装・5℃保存では、10日を超えても異臭が発生しないことから、カット青パパイヤはMA包装で5℃保存することにより、10日間程度鮮度を維持できる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 得られた成果は、カット青パパイヤの製造・品質管理に関する基礎資料となる。

  2. パパイヤ加工法での生菌数は、衛生管理された環境下での結果である。

  3. MAフィルムの実用にあたっては、フィルムメーカーと協議の上、適切な膜孔・膜厚のフィルムを使用することが望ましい。

  4. MA包装で5℃保存した場合、保存6日目に生菌数が106レベルになるため、その際の利用法としては、加熱調理が望ましい。

[具体的データ]

表1 カット青パパイヤ製造工程における一般生菌数とVitC含量


図1 包装形態の違いがカット青パパイヤの生菌数と官能評価に与える影響


図2 包装資材と保存温度の違いがカット青パパイヤの生菌数と官能評価に与える影響

[その他]
研究課題名:野菜用パパイヤの鮮度保持技術開発
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2009年度


目次へ戻る