1.湿害・排水不良

C.圃場の排水性評価方法


「作土層水位測定穴」による鋤床上の滞水状況の確認方法について

水は急に流れにくくなる所にたまるため、耕起した下の境界面、いわゆる鋤床面にたまります。そのため圃場表面に水たまりがなくても、作土層に水がまっていることがあります。

『作土層水位測定穴』を掘って、水のたまり方を確認してみましょう。耕起した後、1日で30mm程度以上の雨が降った時に確認してください。

水位測定穴は、下図のように今回の麦作のために耕起した層の下面にあたる鋤床面から4~5cm程度深く掘ってください。この穴の下端面から鋤床面の深さを物差しなどで測って記録しておきます。

a:水位測定穴の下端から鋤床面の深さ

次に1日で30mm程度以上の雨が降った後に、水位測定穴の下端面から水面までの深さを測定します。

b:水位測定穴の下端面から水面までの深さ

作土層水位(y)は、bとaの差になります。

作土層水位: y=b-a 作土層内の滞水状況

※0cm以下は作土層内の滞水が無い状況で、0cmより水位が下がれば測定は不要です。

通常は、作土層内と鋤床面の透水性は、極めて大きな差があるため、塩ビ管の下端が開いていても作土層水位は測定できます。

一方で、下図のように鋤床面より水位測定穴の下端面の透水性の方が高い場合は、作土層内の水が塩ビ管内に集まってきてしまうため、作土層水位の測定はできません。

但し、こういう条件の土壌だと分かれば、測定井下端面までの深さで心土破砕を行うことが有効だと判断できる。

有孔塩ビ管を用いた作土層水位の測定方法

正確に水位を測る場合は、下図のように穴(ストレーナー)を開けた塩ビ管を挿入して測定します。

有孔塩ビ管を埋める深さは、4~5cm程度とし、下端は塩ビ管キャップやガムテープで塞いでください。

また、有孔塩ビ管の穴は鋤床面から1~2cm程度深く入る所より上に開けてください。

作土層水位の測定方法は、上で説明した内容と同じです。

作土層水位: y=b-a 作土層内の滞水状況

滞水の有無の確認だけであれば、そのままでも十分ですが、正確に測定するためには雨の流入を防ぐためカップ等でふたをします。この時、穴を掘った場所が分かるよう、目印を置きましょう。

ほ場内でも場所によってばらつきがあるので、複数箇所で、特に給水側と排水側の両方で測定すると良いです。

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